ETFは原油価格が上がる時にアンダーパフォームする宿命
2018年10月から原油価格が下落しています。
WTI原油価格は10月3日に1バレル=76ドルの直近ピークをつけた後、急落して11月14日は1バレル=55ドルとなっています。
どこまで下がるかは分かりませんが、急落した後ですのでリバウンド狙いの投資を検討する人もいるのではないでしょうか。
原油への投資で一般的なのはETFや投信です。
しかし、過去に投資経験のある方ならわかると思いますが、原油が上昇してもイメージしたパフォーマンスにならないことが多いのです。
理由は「先物のロールコスト」です。
まず、原油に投資する場合、金(Gold)のように現物に投資することはできませんので先物に投資します。
先物に投資する場合、限月という期限があり、期限が来ると期先の先物に乗り換える(ロールする)必要があります。
この時、同じ価格で乗換え(ロール)ができれば問題ありませんが、通常、期先の先物の方が高い「コンタンゴ」と呼ばれる形になっているケースが多くなります。
特に多くの人が「原油価格は上がる」と見ているタイミングでは確実にコンタンゴとなっており、しかも期先の価格がより高くなります。(つまり先物のカーブが立つということ)
そのため先物のロールコストが高くなります。
原油価格の見通しが強くなればなるほどロールコストが高くなり、パフォーマンスは悪化することになります。
しかも単にコストと呼んでますが、これが誤差の範囲なら問題ないのですが、場合によってはびっくりするくらいの乖離となります。
例えばWTI原油が5%上がっているのにETFはマイナスといったことも普通にあります。
原油価格とETFの乖離を実例で検証
下記にWTI原油価格(スポット価格)とWTI原油ETF(1671)のパフォーマンス比較を掲載します。
乖離はETF(1671)からWTI原油を引いたものです。
これをみると分かりやすいのですが、原油価格が上昇しているときにマイナス乖離が大きくなっていることが分かります。(原油価格が下落しているときは逆にプラスとなることもありますが、原油価格自体が下落しているので投資はマイナスです)
ちなみにこれは原油に限ったことではなく「先物」に投資する場合は全てこうなります。
金・銀・プラチナなど現物に投資するETFは非常に魅力的ですが、原油など先物に投資するETFはあまりお勧めできません。
また、ETFに限らず投信など他の商品でも投資先が先物であれば全て同じです。
- さらにGSCIなど先物に投資するコモディティインデックスはもう1つデメリットがありますので注意してください:ETFの概要(原油等コモディティ関連ETFは注意が必要) - ファイナンシャルスター
原油ETFの乖離についてはこちらも参考にしてください!