投信・ETF(株式型)

ESG投資のパフォーマンスを検証(未来の世界シリーズで確認)

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ESG投資に注目が集まる中、企業のESGへの取り組みを評価し、それを銘柄選定に活用したファンド(投信・ETF)が増えています。

個人的にはESGが株価のパフォーマンスに与える影響は軽微で、どちらかというと金融機関のマーケティング戦略に使われていると感じます。

定期的に人気化するバイオやテクノロジーのテーマファンドと同じようなものだと理解しています。

下記では人気のグローバル株式ファンド「未来の世界」シリーズのパフォーマンス比較を行い、ESG投資の効果を検証します。

比較対象のファンドは下記の2本です。

  • グローバル・ハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)【未来の世界
  • グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)【未来の世界ESG

共に世界のハイクオリティ成長企業に投資するファンドで、違いはESGを考慮するかしないかという点のみです。

正確には未来の世界ESGは運用プロセスの中で、「ESG評価による組み入れ比率の増減」及び「ESGの観点による除外」を行います。

2ファンドの違いはこの部分だけです。

その為、組入れ銘柄も同じようなポートフォリオになります。

下記は上位10銘柄と組入れ銘柄数の比較です。

上位10銘柄の内、9銘柄が重複しています。

組入れ銘柄は【未来の世界】が40銘柄、【未来の世界ESG】が27銘柄とかなり異なりますが、おそらく「ESGの観点による除外」で外れた銘柄が大半と思われます。

基本的に【未来の世界ESG】に組み入れられている銘柄は【未来の世界】にも組み入れられていると思われます。

銘柄数が10銘柄程度であればパフォーマンスに差が出る可能性もありますが、これだけ分散した中で大半の銘柄が重複していれば両ファンドでパフォーマンスに大きな差が出ることは考えにくくなります。

【未来の世界ESG】は2020年7月に設定されておりトラックレコードはそれほど長くありませんが、比較可能な期間でパフォーマンスを検証してみます。

動きはほぼ同じで、パフォーマンスは今のところ【未来の世界ESG】が劣後しています。

少なくともESGが投資においてのパフォーマンスアップに役立っているわけではないようです。

【未来の世界ESG】は一時、1兆円を超える運用資産残高となるなど人気のファンドですが、過去のテーマ型ファンドもそうであったように、テーマの人気で盛り上がるとその後のパフォーマンスが良くないことが多いので注意が必要です。

もちろん、ベースは世界株式なので大崩れしてその後も回復しないような事態は想定しにくいですが、相対的なパフォーマンス悪化の可能性はそれなりにあると思います。

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