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利益の大半が「負ののれん」とは驚いた/連日ストップ安のRIZAP

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RIZAP(ライザップ)の決算には驚かされました。

これまで、興味もなかったので決算データを調べたこともありませんでしたが、今回初めて確認したところ、実体はとんでもない会社でした。

利益の大半が「負ののれん」によるもので本質的な利益はほとんどないということが分かりました。

「負ののれん」の利益計上、会計処理としては正しいが、件数が異常

負ののれん」を分かりやすく説明すると、PBR1倍割れの会社を買収した場合、純資産価格(解散価値)と買収価格の差額が利益計上されるというものです。

純資産価格(解散価値)が50億円の企業を40億円で買収した場合10億円の「負ののれん」が発生します。

本来、企業を買収する場合、ダメな企業を買うよりも有望な企業を買うケースの方が多く、買収価格は純資産価格(解散価値)より高くなるのが一般的です。

その場合、差額は費用として計上されます。

「負ののれん」が計上されるということは、あまり将来性がないと見込まれる企業を買収していることに他なりません。

上記の例で言えば、将来有望な会社の場合、純資産価格(解散価値)が50億円の企業を40億円で買えるはずがありません。

もちろん企業再生のノウハウがあり、ダメ企業を安く買った後に再生させて高く売れるのであれば問題ありませんが、RIZAPにそのようなノウハウがあるようには思えません。

結果的にRIZAPは「負ののれん」を計上できる企業を何十社も買収して利益をかさ上げしていただけでした。

特に過去2年半は60社も買収しており、いくらなんでも異常です。

ちなみにJ-REITでは「負ののれん」があるとポジティブに評価されます。

J-REITの場合、利益の90%以上を配当に回さないと導管性の要件を満たしませんが、負ののれんはキャッシュを生み出さない利益であるため、この分は含み益として内部留保することが認められています。

「負ののれん」を利用して含み損がある物件を売却して入れ替えたり、安定配当の原資として活用できるので投資家にとってプラスと評価されます。

投資する際は決算説明資料は最低読むべき

今回のRIZAPの「負ののれん」はとんでもない事例ですが、粉飾決算をしていたわけではありません。

過去の決算説明資料をみれば、利益の大半が「負ののれん」で訳の分からない会社を買収しているのはすぐに分かります。

また、ネット上でRIZAPの決算がおかしいと指摘してた人も複数いらっしゃいます。

さらに、こちらは少し深読みが必要ですが時価総額が8000億円まで拡大したにもかかわらず、上場している取引所が札証アンビシャスというのもおかしいです。

東証の認可が下りなかったのでしょう。

よってRIZAPについては完全に自己責任の範疇です。

デイトレードであれば必要ないかもしれませんが、株式投資を行う場合は決算説明資料くらいは最低限読むべきです。

RIZAPについても決算説明資料に目を通しておけば損失を逃れられたはずです。

問題があるとすれば今年6月に実施した354億円の公募増資です。

SBI証券が主幹事でしたが、国内の大手証券は幹事団に1社も入っていませんでした。

普通に審査したら引き受けないのではないかと思います。

これは問題になるかもしれません。

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