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ドル円ヘッジコストはイメージよりも高くなっている / ヘッジ外債は注意

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ドル円のヘッジコストは「日米金利差」と理解している人も多いようですが正確には違います。

ドル円のヘッジコストは「日米金利差」に米ドルの需要状況で変化する「ベーシスコスト」を加えたものになります。

足元、米国の利上げにより日米金利差が拡大していることは良く知られていますが、実はベーシスコストも上昇しており、ドル円のヘッジコストはイメージよりも大きくなっています。

2018年11月現在、日米の短期金利は下記の通りです。

  • 3ヶ月ドルLIBOR:2.69%
  • 3ヶ月円LIBOR:-0.11%

よって、金利差は2.8%です。

そこに0.46%のベーシスコストが上乗せされ3ヶ月ベースのドル円ヘッジコストは3.26%となっています

ヘッジコストと金利差の推移はこちらです。

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2つのチャートの差がベーシスコストです。

金利差拡大とベーシスコストの上昇が同時に発生しています。

米ドルの買い需要が強いことで、ベーシスコストも上昇しています。

ちなみにヘッジコストが3.26%あると円ヘッジ型の債券型投信はほとんど機能しません。

投信の信託報酬を加えると約5%前後のコストとなります。

投資対象がドル建ての投資適格債の場合はマイナス利回りになります。

また、利回りが上昇している米国ハイイールド債でも7%前後ですので、円ヘッジして信託報酬を控除すると約2%しか残りません。

これではリスクに対してリターンが見合いません。

さすがにこの条件で円ヘッジ型の債券ファンドに投資する人はいないと思いますが、注意が必要なのはラップの契約者です。

ラップの場合、積極的なコースでも全て株式で運用しているケースは少なく、債券を組み入れることが一般的です。

しかし、円建て債券では利回りが出ないということでヘッジ外債で代用するケースが多くなっています。

この場合、上記のようにマイナス利回りになっていたり、リスクに対して低い利回りになっている可能性があります。(多くの商品では投資適格社債に投資して円ヘッジしているのでマイナス利回りになっているはずです)

現在の状況は当面続くと思われるので注意が必要です。

ヘッジ外債は一度見直すべきでしょう。

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