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投信・ETF(株式型)

投信購入者の何割が損をしているかを公表させても意味がない / 思わぬ副作用も

2018年9月6日

最近、立て続けにこのような報道がされています。

  • 「国内29の銀行(主要行9行、地方銀行20行)で投資信託を買った顧客の46%が損失を抱えている」
  • 「インターネット証券大手4社で販売した投資信託を購入・保有している顧客のうち約64%で運用益が出ている」
  • 「3メガバンクで投資信託を買った個人客の4割が損失を抱えている」

全て2018年3月末のデータとのことです。

どうやら投信の運用成績の透明化を求める金融庁が金融機関に働きかけて公表させたようです。

しかし、これは全く意味がないだけでなく、今後、副作用が発生する可能性があります。

まず、意味がない理由は大きく2つあります。

  1. 金融機関が取り扱っている商品は投資信託だけでないので全ての商品の損益を公表しないと実態が把握できない
  2. 過去の損益も考慮しないと顧客が満足しているかどうかわからない

例えば3000万円の投資をしていて、今の含み損が100万円でも過去3年で1,000万円の実現益があれば顧客は満足しているはずです。

逆に投信の回転売買をさせられている顧客で、基準日にたまたま100万円の含み益があっても、過去3年で1000万円の実現損が出ている顧客は満足していないはずです。

また、投信で含み損があっても、株式の含み益や債券・REITのインカム収入が大きい顧客もいます。

よって、保有している投信の損益のみで評価してもほとんど意味がありません。

逆に上記で「副作用」と表現しましたが、投資家にとってさらに良くないことがおきそうです。

この指標を継続的に公表することになると各金融機関は含み損状態の投信を損切りさせるような営業活動を行うでしょう。

特に3月末や9月末など基準となる日の前に、投信のロスカット提案が増えそうです。

データ上では大半の投資家が含み益を持っていることになりますが、実際にはそれ以上の実現損が発生していることになります。

それでは投資信託の拡大にも逆風となりますし、投資家にとってもプラスになりません。

本来、損しているから売るとか買うというのはナンセンスです。

売買の判断はマーケット環境やバリュエーションを分析して判断すべきです。

個人的にはこの指標の公表はやめた方が良いと考えます。

投資家に間違った運用手法を提供し、結果として「貯蓄から投資へ」の妨げになると思います。

やるのであれば金融機関ごとの全ての商品の累積リターン(トータルリターン)を前面に出すべきです。

これであれば付き合うべき金融機関かそうでない金融機関かを相対的に比較することかできます。

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