2019/4/9日経新聞記事です。
三菱UFJモルガン証券、店舗網見直し 地方は統廃合も
三菱UFJモルガン・スタンレー証券は国内の店舗網を見直す。東京・名古屋・大阪の三大都市圏では三菱UFJ銀行と連携した共同店舗を10カ所程度新設する。一方、不採算の地方店舗は統廃合を検討する。店舗網の刷新に合わせて三菱UFJ銀から400人規模で出向を受け入れ、国内営業を強化する。
何かの間違いだといまだに思っています。
証券の国内営業を強化するために、銀行から400人の出向を受け入れる?
銀行で投信や保険をたくさん販売していた若手行員が対象となるのであれば分かります。
しかし、普通に考えてそうではないと思います。
下手すると400人のほぼ全てが本社の企画や管理部門に行くのではないかと思います。
要は、銀行にポストが足りないので証券のポストを奪いに行く構図です。
本当に証券の国内営業を強化したいのであれば、三菱UFJモルガン証券より格上の証券会社から人を採用しないと物理的に無理です。
日本の証券会社は元々、4大証券がトップで、その下に準大手証券、地場証券といった序列となっていました。
野村・大和の上位2社はそのまま残っていますが、日興証券は紆余曲折の末、三井住友フィナンシャルグループとなり、山一証券は廃業、準大手の国際証券・新光証券は三菱UFJフィナンシャルグループ・みずほフィナンシャルグループの一員となりました。
現在、上位2社はそのまま独立系、他の3社は銀行系となっています。
証券会社は銀行と比較すると人の能力差が出やすいと感じます。
もちろん、会社の格が下でも能力の高い人はいます。
しかし、そういうケースは非常に稀で、そのような人はすでに上位の会社や外資系などに転職しています。
よって、現在の国内営業のレベルを上げるにはある程度まとまった人数を格上の会社から採用するしかありません。
少なくとも全く業務が異なる銀行から素人を受け入れても戦力になりません。
これは営業だけでなく本社に入れても同じです。
現場経験がない業務の企画や管理をしても上手くいくはずがありません。
よくスポーツで「名監督は必ずしも名選手だったわけではない」と言いますが、それでも少なくとも選手であったわけで経験がない人はいません。
サッカーをやったことないが、名監督になるのは無理でしょう。
それと同じです。
先日、知人の会社経営者から聞いた話ですが、三菱に限らず銀行系証券が増えたせいか、マーケット知識がほとんどない証券会社の支店長(部長)が増えていると言っていました。
本当は証券会社の支店長(部長)からマーケットの話を聞きたいのに全く面白くないそうです。
税金やM&Aや相続の話が多いようです。
銀行出身の支店長なのでしょう。
銀行の業績も大変なのでしょうが、これでは証券ビジネスもダメになってしまいます。
それ程仲良くないのに、いきなり相続の話をされても顧客が困ります。
営業担当者が提案している商品の内容を支店長(部長)がいまいち理解できていないというのも顧客に対して失礼です。
ビジネスを舐めすぎです。
おままごとのようです。
これでは日本の投資家が増えないのも無理ありせん。
金融庁は投信の販売姿勢など表面的なことよりも、このような本質的な問題を管理すべきだと思います。