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かんぽ生命の売出しはまた投資家をつぶすのか / つなぎ売りも規制で難しく

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かんぽ生命は親会社の日本郵政が保有する株式約4,000億円の売出しを発表しています。

同時に1,000億円を上限とする自社株買いも発表し、こちらはすでに実施されています。

売出の値決めは4/15 (月)~4/17 (水)で、2日後までの払込みとなります。

自社株買いを公表・実施したことで2,400円前後で推移していた株価は急上昇し2,700円台の推移となっています。

少し考えればわかることですが、自社株買いは売出しの払込み後に行うべきでした。

これでは売出価格を釣り上げていると思われても仕方ありません。

もともとアピールポイントが少ない銘柄ですが、株価が上昇したことでより魅力が乏しくなりました。

かんぽ生命と第一生命のバリュエーション比較です。

かんぽ生命と第一生命のバリュエーション比較

データが反対になっているかと思いました。

海外ビジネス・資産運用ビジネスも拡大してして成長性がありそうな第一生命と比較して割高なバリュエーションです。

普通に考えて投資家からの人気はないと考えられます。

2018年12月のソフトバンク(9434) IPOが最悪の結果となったことも、同じ大型ファイナンスとしてマイナスイメージとなります。

普通に考えると投資するのは「つなぎ売り」のセミプロ投資家くらいしかいないように感じます。

ちなみに「つなぎ売り」は規制が設けられ、価格決定前の空売りはできなくなっています。

公募増資や売出しは一般的に価格決定日は初日になるケースが大半であり、以前はその日の大引けを狙って空売りを行い、売出しで取得した株で返済するという取引が横行してました。

売出し株はディスカウントがあり、手数料なしで取得できますので、この取引の場合、逆日歩が付かない限りノーリスクでサヤを取ることができました。

2011年に規制が入り、この取引は禁止されています。

ただし、今でもややグレーですが、空売りと売出し申込みの口座を分ければ可能です。

しかし、今回のかんぽ生命については4/5以降、制度信用の新規売り停止が発動されていますので、空売りを行うには一般信用しかありません。

よって、誰でもつなぎ売りができる状況ではなくなりました。

また、つなぎ売りに関しては、価格決定後であれば空売りをして売出し株で決済することは合法です。

価格決定後、払込みまでの間に空売りを行うやり方です。

かんぽ生命のケースではおそらく4/15 (月)が価格決定日で4/16 (火)~4/17 (水)までに払い込みとなるはずです。

この場合の空売りのチャンスは4/16、4/17の2日間です。

この時点で買いの価格は決まっていますのでそれよりも高い価格で空売りできればサヤがとれます。

この払込みの2日間に株価が下落してしまっては意味がありませんが、安定操作期間として株価が下落しにくい期間となるため成功率は高くなります。

もちろんこちらも制度信用の新規売り停止が4/16に解除されないと一般信用しかできません。

ここは4/16に解除されるか注目です。

そう考えると売出しで取得する人は純投資がメインとなります。

しかし、もう少し株価が安くならないと厳しい結果となりそうです。

もともと、かんぽ生命の株式は日本郵政が約90%を保有していて、品薄感から株価が安定的に推移していたとも言えます。

同時に上場した日本郵政やゆうちょ銀行と比較しても株価は安定的に推移してきました。

今回の売出しで日本郵政の保有比率が65%まで低下し、市場に流通する株式が増加します。

価格決定までのあと数日間で株価が調整すれば良いのですが。

ソフトバンク(9434)のようにならないことを祈るばかりです。

<追記>

かんぽ生命保険の売出価格は1株につき2,375 円(2019年4月155日終値2,474円から4.0%ディスカウント)で受渡日は4月23日(火)に決まりました。

そして、4月23日(火)の初値は公募価格を7.2%下回る2,204円となりました。

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