営業ノウハウ

金融機関は大手と中小で損害賠償の対応が異なる

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医療機関の診療報酬請求権を証券化した「レセプト債」に投資するファンドに関する事件で、このレセプト債ファンドをどこの証券会社で購入したかで回収率に差が出るようです。

ちなみに日本のレセプト債は本来、安全性がかなり高い証券化商品ですが、今回の件はそもそもファンドがレセプト債を買わずに私的流用されていたのでどうしようもありません。

投資対象の問題ではなく、運用会社の問題です。

ファンドを運営するオプティファクター社は関連会社に資金を流出させており、オプティファクター社の破たん手続きによる回収率は20%程度とのことです。

8割の損失が出ることになりますが、一部の証券会社は全額ではありませんが補てんをするようです。

もちろん、証券会社が損失補てんすることは禁止されていますが、今回は運用会社に対するデューデリジェンスに問題があったという理由で損害賠償するものと思われます。

今回のレセプト債ファンドは7社で227億円の販売となっており、最も多い67億円を販売したアーツ証券はすでに破たんしており、これ以上の回収は見込めない状況です。

残りの6社の内、おきなわ証券(那覇市)と上光証券(札幌市)が一部補てんを行う方針で、両社から購入した投資家はオプティファクター社からの20%と合わせると70%以上は回収できることになります。

他の4社の対応は未定です。

もちろん4社もできることであれば補てんしたいと考えていると思いますが、これは補てん金額と各証券会社の体力の問題となります。

中小の証券会社で数十億円の補てんは自らの経営を揺るがす規模となります。

現在はこのような問題が発生した場合に救済する制度が十分でなく、今のままでは顧客から見た場合、大手の証券会社と取引したほうが安心ということになります。

実際に2000年代前半にMMFが元本割れした際に一部の運用会社が損失補てんしたり、2008年のリーマンショックの際は複数の大手金融機関が損害賠償というかたちで投資家の損失を回復しました。

2009年~2012年頃に問題となったフラット為替(クーポンスワップ・通貨スワップ・長期為替予約)でもメガバンクを中心に多くの銀行がADRの調停を経て、巨額の和解金を支払いました。

これは既に中小の金融機関に勤務している方にはどうすることもできませんが、投資家目線ではこういう見方もあるということは忘れてはいけません。

他の営業マンとの差別化を図って顧客の信頼を得ることを目指しましょう。

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