米国リート・グローバルリート

なぜ米国REITの心配をしている人が多いのか考えてみた / 今後の見通しは?(2018年1月)

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足元、日米共に株価は堅調、リートは不調となっています。

ちなみにREITは不調と言っても大きく下落しているわけではありません。

それでも最近、「フィデリティ・USリート・ファンド」や「新光US-REITオープン(ゼウス)」について心配する声をよく聞くようになっています。

なぜ、そこまで心配するのか調べてみたところ、確かに「基準価格」だけを単純にみていると心配になるのも無理ないと感じました。

例えば「新光US-REITオープン(ゼウス)」の基準価格の推移はこちらです。

ゼウス基準価格推移

3年前の2015年1月に5,300円前後であったゼウスの基準価格は現在2,652円まで下落してます。

3年でちょうど半分ですのでそれは心配になるでしょう。

ゼウスの基準価格下落は高い分配金利回りが原因

「新光US-REITオープン(ゼウス)」の変動要因は米国REITの動きとドル円レートの動きです。

米国REIT (ダウジョーンズ米国不動産業界グループ指数)は2015年1月と現在を比較するとほぼ横ばいです。

更に配当込み指数では10%強のプラスとなっています。

ドル円レートは2015年1月は1ドル=120円で現在が1ドル=110円ですので8%程度のマイナス要因となります。

よって米国REITとドル円レートの動きをトータルで考えるとプラスマイナスゼロとなります。

それでも基準価格が半分になったのは分配金が要因です。

ゼウスの分配金は2015年1月~2016年12月までは1口当たり75円、2017年1月以降は1口当たり50円となっています。

3年間で2400円を分配したことになります。

よって、現在の基準価格2,652円に2,400円を加えると5,000円以上となり、2015年1月の基準価格と比較してもほとんど下落していません。

分配金込みのチャートはこちら
(2015年1月2日を10000として指数化)

ゼウス分配金込み基準価格推移

よって米国REITのファンダメンタルが悪化しているわけではないので特段の心配は必要ないと思います。

分配金利回りの高さを理解して購入しているのでは?

ゼウスは基準価格が2,651円に対して毎月50円の分配ですので分配金利回りは22.6%となります。(50×12/2651)

米国リートの利回りは4%前後ですので、米国リートが値上がりするか円安が進まない限り基準価格は下落します。

悪く言えば「タコ配」ですが、年金替わりに受け取りたいといったニーズもかなりあるようです。

分配金として受け取っている分、基準価格が下がっているだけで運用で損をしているということではありません。

今どきこの内容を知らないで購入している人はいないと思っていましたが、現在心配している人が多いことから、意外と理解していない人もいるのかと心配してしまいます。

米国REITは金利上昇で短期調整中

米国REITと米国10年国債の推移です

米国リートと10年国債利回りチャート

チャートを見ても分かる通り、長期金利が上がるとリートはどうしても調整してしまいます。

金利が上がると調達コストが上昇しリートにとってはマイナスになることから、短期的にはこのような動きになります。

しかし、金利が上昇するということは米国のマクロ景気や不動産市況が良いということになりますので、中長期的にはリートにとってもプラスになります。

これまでも金利が上がると短期的には調整するが中長期的には右肩上がりになるということを繰り返してきたのが米国のREIT市場です。

よって、今回も金利上昇が一服した段階からリートが上がり始め、数年後に振り返ればやっぱり上がっていたということになると思っています。

トータルリターンでは長期に渡り右肩上がりとなっています。

米国の長期金利上昇はもうしばらく続きそうですが、安い局面では買いではないでしょうか。

米国REITと株式(S&P500)の比較チャート

米国リートと米国株式比較チャート

現在、好調な米国株式市場と比較すると米国REITの出遅れ感が鮮明です。

過去を見ても何度か同じようなことがあり、その後REITは追いかけるように上昇しています。

やはり金利が上昇した局面では株価は影響を受けませんが、リートは一旦下落するのでこのような動きなるようです。

足元は株式市場に対し米国REITの割安が高まってきています。

米国REITは買い

現在のような環境は押し目買いのチャンスとも言えます。

米国のマクロ景気が急激に悪化しない限りは大きな心配は必要ないはずです。

さらに米国REITが長期的に下落トレンドになる時は米国株式はもちろん、日本株式なども大きく下落すると考えられます。

過去にも指摘したことがありますが、米国リート関連の投信が人気で大きく残高を増やしたのは高い分配金利回りということだけではなく、米国リートというアセットに対する投資家の信頼も大きく影響していると思います。

言い換えると、「米国リートを買って損をするのなら何を買っても同じ」ということです。

米国の景気が悪く、米国株・米国REITが大きく下落しているのに、日本の経済は好調で日本株やJ-REITは上昇するというのは少し考えにくいと思います。

米国REITに関する分かりやすくて役に立つ内容はこちらを参照してください。

米国REITについてのポイントがすべて網羅されていますのでご活用ください。

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