トランプ大統領は米国人の雇用を守るとアピールしています。
しかし既に失業率は4.4%と2007年5月以来の低水準まで低下しています。1970年代まで遡ってもほぼ下限まで低下しています。
FRBは失業率4.7%を完全雇用としていますので、米国人の雇用は既に十分満たされていることになります。
ゴールドマンサックスは今後、失業率が4.1%まで低下すると予想していますが、労働市場が極端に逼迫しすぎると労働不足から企業業績のマイナス要因となってしまいます。
最近は日本でもサービス業を中心に労働市場の逼迫から一部で業績に悪影響が出ています。サービス・小売り業では多くの企業が人手不足による売上の伸び悩みや人件費上昇による利益の減少が発生しています。
このように労働市場が過熱しすぎるとかえって景気に悪影響を与えてしまいます。
よって、FRBは労働市場を安定させるために利上げを模索することになります。
現在は労働市場の逼迫に加え、インフレ率も高止まりしており、FRBとしては利上げを行わないといけない状況となっています。
ただし、失業率が低下していますが、賃金の伸びはそれほど高くありません。(日本ほどではありませんが)
また、自動車販売をはじめとする一部の消費関連指標で懸念されるデータも散見されます。
よって、このままFRBが利上げを行うと景気に悪影響を与える可能性があります。
そのためFRBの利上げと共に、トランプ政権の財政政策(インフラ投資)がポイントになります。
景気が必ずしも絶好調ではない中でFRBがブレーキを踏まざる負えない状況ですので、トランプ政権にはアクセルを踏んでもらう必要があります。
メキシコとの国境に壁を作るのはあまり生産性が高くありません。
将来の生産性向上につながるインフラ投資などをいち早く実現すべきです。
そうしなければ米国発の世界的な不況の可能性も出てきます。
トランプ大統領は米国人の雇用を増やすと宣言していますが、雇用は既に足りています。
いま必要なのは生産性の高まる公共投資です。
今後のマーケットリスクを考えるうえでトランプ政権の政策実現力は注目すべき点です。
日本では「人口減少」や「所得の伸び悩み」など本来、最重要とされるべき問題が実質的に放置されています。
その結果が「失われた30年」となっています。
米国は世界のリーダーでグローバル景気にも大きな影響を与えるので、効果的な政策実行を期待したいものです。
日本のようにならないことを祈るばかりです。
ちなみに日本人が投資を行う上では、日本の景気がそれほど良くなくても国際分散投資を行っていれば全く問題ありません。
極論すると日本株も日本の景気より米国や中国の景気の方が重要とも言えます。
日本株の時価総額上位で日本だけで利益を上げているのは通信と日本郵政関連のみです。
メガバンクでも実は利益の40%前後は海外です。
一方、米国の景気や米国株は日本の投資家にも大きな影響を与えるので、こちらは成長が続くことを祈ります。