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人件費の自然減による増益では日本経済の未来はない

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最近のニュースで目についた内容です。

  • 日本企業は過去最高の利益水準
  • 労働分配率は低下傾向

この事実から日本企業の業種が上向いている要因として、人件費が低く抑えられていることが大きく影響していることが分かります。

もちろんそれぞれの社員の給料が減っているわけではありません。

ここ数年は団塊の世代が退職時期に来ており、所得水準の高い社員が多く退職するので、新卒採用をかなり増やしても、法人が支払う給与総額は減少することになります。

例えば、年収1000万円の社員が退職して、年収が300万円の社員が入社するということです。

団塊世代とは2017年時点で67歳〜70歳の方々でここ数年退職しています。

団塊世代の出生数は年間270万人前後でした。

団塊世代と入れ替わりで社会人になった2017年時点の25歳前後の世代は年間出生数が120万人前後です。

1学年の人数が60%も減っていることになります。

これでは人手不足になるのは当然です。

逆に多少給料を上げてもトータルの人件費はなかなか増えることはありません。

多くの企業はこの人件費減少のおかげで利益を増やし、内部留保を増やしています。

これでは政府や日銀がいくら頑張っても日本経済は良くなりません。

せめて労働分配率は低下せずに現状維持となれば、一人当たりの賃金は増えるので景気にもプラスになると思われます。

その上で企業は必要以上に内部留保せず、配当や自社株買いに回せば株価も上昇するので更に効果は高まります。

政府が経団連等に賃上げの圧力をかけ、ROE経営を推進する為、コーポレートガバナンスコードとスチュワードシップコードを導入するなど進んでいる方向は間違っていませんが、中々効果は出ません。

個人的な感覚ではコーポレートガバナンスコードやスチュワートシップコードの推進に比べて、企業への賃上げ圧力が弱いような気がしています。

政府はこの一点に集中して頑張って欲しいものです。

あとは経営者の意識がいつ変化するかを待つのみです。

どうしてもサラリーマン社長の場合は自分の任期期間を無難に全うしようとします。

しかし、今のように人件費の自然減による増益は本当の意味での経営とは言えません。

株主から人件費を増やせというのはおかしな話かもしれませんが、総人件費を減らすことで増益となっている企業の株価が評価されないようなマーケットになって欲しいものです。

既存の大手企業には大きな変化は難しいと思われますので、オーナー系企業に期待したいです。

また、政府には賃上げの要請に加えて、人口対策(少子化対策)にも積極的に取り組んでほしいものです。

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