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三井住友銀行がCLO組成/ABSをマスターしよう

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本日の日本経済新聞に掲載されていましたが、三井住友銀行が国内企業向けの貸出1000億円を裏付けとしたCLOを組成し、数十億円の劣後部分を機関投資家に販売するそうです。

販売される劣後部分の利回りは3〜5%で、劣後部分なので裏付けとなっている貸出にデフォルトが発生するとCLOも毀損する形になります。

三井住友銀行が審査した取引先であればほとんどデフォルトしないだろうという前提で、ある程度高利回りという事もあり、数十億円であればすぐに売れるでしょう。

年金などは購入したいのではないでしょうか。

三井住友銀行は国内貸出が増えず預貸率も65%前後しかないのにローンを売却する必要があるのかは疑問が残りますが、CLO自体は組成サイドの裁量で面白い商品を作ることができますのでこの機会に覚えておいてください。

CLOの裏付け資産は一般的なローン(融資)ですが、シニア部分、メザニン部分、エクイティ部分という形で切り分けることにより、様々なリスク・リターンの商品(CLO)を作ることができます。

一般的なローンを「ハイリスク・ハイリターン」「ミドルリスク・ミドルリターン」「ローリスク・ローリターン」の商品に組み替えることにより、幅広い投資家に提供することも可能となります。

この部分はCLOの存在意義として非常に大きいと思います。

そして、ローン(loan)を裏付けにしたCLOに限らず、債券(bond)を裏付けにしたCBOなどもあり、このような仕組みの証券を総称してABS(asset backed security、資産担保証券)と呼んでいます。

ABS(asset backed security、資産担保証券)は奥が深い分野なのでよく勉強しておきましょう。

金融機関でも正確に分かっている人は非常に少ないので差別化することができます。

そういえばリーマンショック前後に大手金融機関がアレンジしたとんでもないCBOが存在しました。

おそらく、クレジット審査の基準が甘すぎたことが原因でデフォルト率が想定を大きく上回り、発行時にAAAの格付であったシニアCBOまでも一部毀損しました。

この部分はABS特有のリスクの1つとなります。

金融機関の方には節度を持って商品を組成してほしいものです。

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CLOと同じような仕組みで「商業用不動産のローン債権」を裏付けとしたCMBS(Commercial Mortgage Backed Securities)についての分かりやすくて詳しい説明はこちら!

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