日本初のプロテクトライン付き投信として話題の「SMBC・アムンディ プロテクト&スイッチファンド(あんしんスイッチ)」。
投信の委託会社はクレディ・アグリコル・グループのアムンディ・ジャパンです。
基準価格がプロテクトラインを下回った場合、クレディ・アグリコル銀行が保証契約に基づきファンドに補てんする仕組みとなっています。
設定時のプロテクトラインは9,000円に設定されているので、設定時に投資した場合は最大リスクが10%となります。
基準価格が上昇するとプロテクトラインも上昇する仕組みとなっており,基準価格が10,600円になるとプロテクトラインが10,000円になります。
よって、設定時に購入して基準価格が10,600円になれば元本割れのリスクがなくなります。
さらに、基準価格が上昇して11,111円になるとプロテクトラインは日々の基準価格の90%になり,一度上昇したプロテクトラインは下がることはありません。
よって、仮に基準価格が一度でも12,000円になると12,000円×90%=10,800円がプロテクトラインとなり,その後パフォーマンスが低迷しても10,800円を下回ることはありません。
ちなみにプロテクトラインにタッチするとファンドは償還となります。
運用は世界の株式、債券、短期金融資産で為替は原則ヘッジ付きとなります。
原則、ETFに投資する仕組みです。
環境に合わせて株式、債券、短期金融資産の比率を変更させていく運用となります。
商品の仕組み上、基準価格が下落してプロテクトラインに近づくにつれて株式比率を低くし安定運用のポートになり、基準価格が上昇してプロテクトラインとの差が広がるにつれて積極的なポートにシフトする形となります。
クレディ・アグリコル銀行はフランスのメガバンクでグローバルなシステム上重要な金融機関G-SIFIs (Global Systemically Important Financial Institutions)にも入っておりクレジットリスクは小さいと考えられます。
ただし、プロテクトラインにタッチすると償還されるため、クレディ・アグリコル銀行の保証が発動されるケースはそれほどないと考えられます。
プロテクトラインにタッチした場合、ファンドはポジションの解消を行いますが、ETFによる運用であり流動性は高いと思われるのでポジションの解消はスムーズに行われるはずです。
よって、クレディ・アグリコル銀行の保証はプロテクトラインにタッチした日の値動きでプロテクトラインを下回った部分に限定されると考えられ、極端な負担にはならないと思われます。
プロテクトラインは斬新で一定のニーズはあると思われますが、下がると償還される点は少しマイナス要素です。
また、比較的安定したポートフォリオとなることが予想されるため、期待リターンもそれほど高くないと考えられます。
年率で3%を超えるようなリターンにはならないはずです。
ただし、信託報酬はプロテクトラインの保証料込みで1.44%とこの種の商品の中では低コストといえます。
高コストのラップなどに投資することを考えると悪くない商品かもしれません。
この手のファンドの成功事例はあまり聞いたことがないので、ぜひ頑張ってほしいと思います。
【2020年6月追加】
コロナショックによる株価急落の影響を受け、基準価格が9,100円前後まで下落しています。
プロテクトラインである9,000円に近づいたことで、ポジションのほぼ全てが短期金融資産となっています。
状況を見ながらリスクを取りたいのだと思いますが、基準価格が9,000円を割るとファンドが償還となるのでかじ取りは難しい状況です。
そのため、今後、株価のリバウンドがあっても基準価格が回復するのは難しいと思われます。