こちらのページでは多くの債券を発行しているソフトバンクGの格付と信用力について掲載しています。
ソフトバンクG はS&Pでは発行体格付けがBB+ということもあり「リスクが高い」といったイメージを持つ方もいるようですが、ソフトバンクGの信用力はそれほど低くありません。
また、多くの日本の上場企業はS&Pで格付けを取得していないだけで、実際に取得するとBB格になるところもかなり多くあると思われます。
詳細は下記をご覧ください。
ソフトバンクの格付は「S&P:BB+」「JCR:A-」
ソフトバンクG(9984)の長期債格付は下記の通りです。
- スタンダード・アンド・プアーズ(S&P):BB+
- 日本格付研究所(JCR):A-
国内で円建ての社債を発行する際は投資適格社債(BBB格以上)として発行されますが、米ドル建てやユーロ建ての社債を発行する際は非投資適格社債(BB格以下)として発行されます。
上記はシニア債の格付ですので、ドル建ての永久劣後債などではB+となります。
そして、非投資適格社債は別名「ジャンク債」「ハイイールド債」と呼ばれ、投資家の中にはリスクが非常に高いと感じる方も多いようです。
確かに、米国では非投資適格社債は数多く発行されるので、一般的な投資対象として認識されていますが、日本企業で非投資適格社債を発行するケースは極めて稀で、これまでほとんど発行されることはなかったことからそう感じるのも無理はありません。
ちなみにS&PでBB格以下の企業は下記の通りです。
- シャープ:BB-
- ソフトバンクG:BB+
- 東京電力HD:BB+
- 東芝:BB+
- 三菱自動車:BB
- 楽天G:BB+
海外の格付会社から格付けを取得している企業自体が少ないこともあり、BB格以下の企業も少なくなっています。
多くの日本企業は円建ての債券しか発行しませんので、日本の格付会社からのみ格付けを取得している企業が大半です。
そして、国内の債券市場では米国と異なり、ほぼ全てが投資適格社債(BBB格以上)となっています。
しかし、ここで注意が必要なのは上記のソフトバンクGの格付を見てわかる通り、国内の格付会社と海外の格付会社では格付の基準が大きく異なる点です。
ソフトバンクGではJCRとS&Pで4ノッチ違います。
もちろん、この関係が全ての発行体に当てはまるわけではありませんが、JCRで「A-」以下の企業はS&Pでは非投資適格になる可能性が高くなります。
参考までに下記にJCRによる上場企業の格付一覧を掲載します。
JCRによる日本の上場企業格付一覧<2021年9月時点>
格付ごとに分けて掲載します。
まずは「AAA」からです。
JCR上場企業格付一覧【AAA】
さすがに最上級のAAAは6社と限定的です。
次にAA格です。
JCR上場企業格付一覧【AA+・AA・AA-】
個人的には「?」がつく企業も含まれていますが、AA格はかなり信用力が高い企業と言えます。
次のA格は数が多いので「A+」「A」「A-」をそれぞれ分けて掲載します。
JCR上場企業格付一覧【A+】
この辺の企業はS&PやMoody'sが格付けをするとBBB格でギリギリ投資適格になると思われます。
JCR上場企業格付一覧【A】
楽天GはJCRの格付ではソフトバンクGより1ノッチ上のAですが、S&Pの長期債務格付けではソフトバンクGと同様BB+となっています。
JALは新型コロナウイルスの影響で業績が悪化し、株式による増資や劣後債の発行を行っています。個人的には2021年9月時点ではソフトバンクGより信用力が劣ると感じます。
次はソフトバンクGも含まれる「A-」の一覧です。
JCR上場企業格付一覧【A-】『ここより下はS&Pでは非投資適格になる可能性』
一概には言えませんが、ここに掲載されている企業はJCRの判断ではソフトバンクGと同じレベルの信用力ということになりますので、S&Pが格付するとBB+程度で非投資適格社債という事になります。
個人的な印象ではしっかりした会社が多いと感じます。
そういう意味ではS&PやMoody'sのBB格はそこまで信用力が低い訳ではありません。
「ジャンク債」という名前の響きはよくありませんが、それなりの信用力があると言えます。
ちなみに米国企業でもデル(電気機器)・デルモンテ(食品)・リーバイス(アパレル)・グッドイヤー(タイヤ)などがBB格で債券を発行しています。
次にBBB格以下の一覧です。
JCRでもBBB格やBB格の企業は存在します。
まずは「BBB+」の一覧です。
JCR上場企業格付一覧【BBB+】
JCRの「BBB+」でもかなり信用力が高そうな企業が含まれています。
JCR上場企業格付一覧【BBB・BBB-・BB+】
さすがにJCRのBB格となると少し厳しそうな企業が含まれます。
まとめ
- ソフトバンクGの格付はS&PでBB+、JCRでA-
- 日本の上場企業でもS&Pで格付けを取得するとBB格(非投資適格)の企業はかなり多いことが想定される
- そもそもS&PのBB格はそこまで信用力が低い訳ではない
- ソフトバンクGの信用力はそれほど低い訳ではない