トランプ大統領は現在35%と世界で最も高いと言われている米国の法人税を15%にしたい意向ですが、財源の問題もあり、現状では20%台前半にとどまると言われています。
それでも、法人税の減税は米国株の1株当たり利益を直接的にアップさせます。
多くの金融機関が減税効果を予測していますが、法人税が20%台前半になるとS&P500の2018年の1株当たり利益(EPS)は減税がない場合より10%以上増加しそうです。
現在、S&P500の2017年の予想1株当たり利益(EPS)は130です。
また、減税考慮前の2018年の予想1株当たり利益(EPS)は145前後です。
これが20%前半への減税考慮後では160まで上昇することになります。
足元のS&P500は約2470ポイントですので2017年ベースの予想PERは19倍となっており、少し割高なのではとの声も聞かれます。
しかし、減税考慮後の2018年ベースでは予想PERが15.4倍まで低下します。
これを考えると必ずしも割高とはいえないかもしれません。
米国企業は日本企業と比較すると為替レートによる業績の変動が少ないこともあり、業績が安定的に推移する傾向があります。
それに加え自社株買いを積極的に行うことで当期利益の増益率よりも1株当たり利益(EPS)の増加率が大きくなり、結果的に株価も右肩上がりとなっています。
長期的にみて割安な水準とはいえませんが、極端に買われすぎでもありません。
リーマンショックのような大幅な株価の調整を予想する人も増えていますが、個人的にはそのようなショックがあるとしても、もう少し上昇して買われ過ぎの水準になった後ではないかと考えています。
現状、世界の株式時価総額合計が世界の名目GDP合計を上回る水準まで上昇してきました。
これが、もう一段上昇し、世界の株式時価総額合計が世界の名目GDP合計を10%を超えて上回るようになった場合は注意が必要です。
その場合はさすがに割高と言えます。
ちなみに2000年のITバブル期は世界の時価総額合計が世界の名目GDP合計の1.2倍まで拡大しました。そして、リーマンショック時は1.1倍がピークでした。
株価がピークをつけた後に、景気後退などが複合的に発生すると大きな下落になる可能性もあるので注意が必要です。
株価が買われすぎの水準まで上昇した場合は、株式資産の一部を安全資産にシフトするなどポートフォリオのリバランスを検討しても良いでしょう。
その後、更に上昇すれば、安全資産へのシフトを追加し、逆に下落すれば株式に再シフトすればよいと思います。
参考ページとしてこちらも参考にしてください。