日本人の年齢別の人口で最も多いのが現在70歳前後の団塊世代と45歳前後の団塊ジュニア世代です。
団塊ジュニア世代で最も人口が多いのが1973年生まれで、彼らが大学受験をした1992年の18歳人口は205万人でした。
そして、現在の18歳人口はここ数年約120万人前後で推移しています。
とんでもない減少です。
- 日本の人口ピラミッドはこちら:主要国の人口ピラミッド 2015年・2050年比較 - ファイナンシャルスター
一方、上位の有名校に限定しても大学の定員数はほとんど変化がないか若干増加しているようです。
同じ定員数で205万人と120万人ではさすがにレベルの差が発生しそうです。
もう少し具体的に分析します。
下記が2017年度の全ての国立大学と有名私立大学の定員数です。(私立大学は下記以外にも医科大やICUなど有名でレベルの高いところは何校かありますが、人数的にそれほど多くないと思われるので下記に限定しています)
有名私立大と国立大学の定員を合計すると約15万人です。
つまり、一定レベル以上の大学に入学したいと思った場合、同じ学年の中で上位15万人に入る必要があります。
1992年の受験生は205万人中、上記の大学に入学できるのは15万人ですので上位7%に入る必要があります。
現在の受験生は120万人ですので、15万人に入るには上位12.5%となります。
高校は各学校のレベルの差が大きいので、分かりやすくレベル差のない公立の中学校をイメージするとこのような感じになります。
1学年200人とすると1992年の受験生は中学生の時、学年で14位、現在の受験生は中学生の時、25位にいることが必要です。
200人の中で14位と25位は近いようでかなりレベルが違います。
1992年の大学受験生は中学生の時、200人中20位のレベルでそのまま成長すると、大学は上記のレベルには届かず「日東駒専」レベルです。
それが現在の大学受験生は中学生の時、200人中20位のレベルでそのまま成長すると、最低でも「MARCH」、上手くいくと「早慶」の可能性もあります。
これはいくらなんでも大きな違いです。
1973年生まれ(1992年の受験)で日東駒専に入学した人は、生まれるのが25年遅ければ最低MARCH、うまくいけば早慶に入学できたことになります。
逆に言うと今、早慶に行っている人は25年前であれば「日東駒専」の可能性もあったことになります。
もちろん、本当に上位の人材は母集団が多くても少なくてもそれ程レベル差が出ないという話もあります。
また、同じ大学に入る場合でも、現役か浪人か推薦かで能力に違いもあると思いますので一概には言えませんが、感覚的に最近の大学入試はハードルが低くなっているように感じます。
それが日本企業の競争力の低下につながらないことを祈るばかりです。
これを見ると人口減少は経済規模の縮小だけでなく、様々な面でマイナス効果があることが分かりますので、国全体でもっと真剣に考えるべきではないでしょうか。
最後に、18歳人口・大学進学者数・大学進学率の推移です。
これだけ18歳人口が減っているにもかかわらず、大学進学者数が増加しています。
その結果、大学進学率は1990年前後の約25%から2017年には52.6%まで上昇しています。(4大のみのデータです)
そして、18歳人口はここ数年は120万人前後で横ばいでしたが、2018年から再び減少が始まります。
ちなみに近年の出生数は100万人を下回っており、2018年に生まれた子どもの人数は92.1万人となっています。(1年間で総人口27万人減少/移民18万人増でも自然減44.8万人 - ファイナンシャルスターLite)
すでに2017年で40%以上の私立大学が定員割れしていることから、こちらも何らかの対応が必要です。
本来であれば、とっくの昔に淘汰されているはずの大学も進学率の上昇でごまかして、ここまで来てしまいました。
このままいくと大学進学率が100%にならないと生き残れない大学が続出します。
しかし、それは競争力の低下を招くので日本人のためになりません。
結局、日本の場合は少子化対策を劇的に行う以外に未来はないと感じます。