有効求人倍率と失業率をみると好景気?
2018年9月の有効求人倍率が1.64と1974年1月以来、44年8か月ぶりの高水準となりました。
同時に発表された失業率も2.3%と1970年代後半と同水準です。
しかし、そう言われても景気が良くなっている実感がないという人が多いのではないでしょうか。
有効求人倍率についてはいくつか論点があるの解説します。
有効求人倍率はハローワーク(公共職業安定所)のデータ
有効求人倍率はハローワーク(公共職業安定所)における求職数と求人数から計算されています。
一般的なサラリーマンが転職しようする際、インターネットの求人サイト等で求人を探すのが一般的だと思います。
金融機関の専門職の人はヘッドハンターの会社に登録したりします。
全てではありませんがハローワーク(公共職業安定所)にくる求人は所得レベルがそれほど高くないと想定されます。
よって、現状は低い所得の求人が増加しているだけの可能性が高いです。
2017年12月時点の国民の平均所得は2.5%増加しましたが432万円と低水準です。
500万円~1000万円レベルの求人が増加しないと景気は良くならないでしょう。
また、ハローワーク(公共職業安定所)のデータのみで集計するやり方は早急に変えるべきです。
日本の人手不足は需要増ではなく団塊世代の退職と学生の減少
2018年時点で68歳~70歳の団塊の世代は1学年200万人以上、65歳前後の世代も180万人前後の人口がいます。
一方、現在の20歳前後は1学年に120万人程しかいませんので、新しく就職する人と退職者の数にミスマッチが発生します。
多くの企業で採用を積極化しているのは景気が良くなったからではなく、退職者が多い時代だからと考えられます。
同時に高校生や大学生の数も昔と比べて非常に少ないのでアルバイトを集めるのも大変です。
コンビニなどでは外国人アルバイトがいないと成り立ちません。
これらは一見、景気が良なっているからと錯覚してしましそうですが、実は大部分が人口構成の変化で説明できます。
一言で言うと日本人が減っているだけです。
有効求人倍率の上昇もかなりの部分が人口構成の変化で説明が可能と思われます。
ちなみにホテル需要の高まりもインバウンドではなく人口構成の変化でかなりの部分が説明できます。
人口減少は国の根幹にかかわる問題ですので、政府にはもっと真剣に取り組んでほしいと思います。