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インバウンドに惑わされホテルの作り過ぎに注意 / 日本の65歳~70歳人口を確認すべき

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メインサイトに国内ホテル需要の日本人と外国人の内訳について掲載しました。

ここ数年、ホテル需要が堅調でホテルの建設ラッシュが続いています。

訪日外国人客(インバウンド)が当面増加することは間違いないと思いますが、それ以上に日本人の需要動向が重要であることに気づきました。

詳細は上記リンク先(メインサイト)をご覧いただければと思いますが、過去10年のホテル宿泊者数(泊数)の増加の内、インバウンドによるものは30%前後です。

実はホテル需要の増加分の内、約70%は日本人の宿泊者によるものとなっています。

具体的には2010年ごろから退職が始まった団塊の世代の国内旅行が増加の要因です。

報道ではインバウンドによるホテル需要増と言われることが多いですが、実は日本人の要因の方が圧倒的に大きくなっていたのです。

よって、今後のホテル需要を考える際もインバウンドだけでなく日本人の高齢者の動向を分析する必要があります。

高齢者と言っても70代後半以降はそれほど積極的に旅行に行くことはないと思いますので、65歳~70歳前後の人口がポイントとなります。

下記に年齢別の人口を掲載します。

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ポイントは下記の通りです。

  • 団塊の世代と呼ばれる現在の68歳・69歳・70歳の年齢別人口は各年齢で200万人以上
  • 51歳~63歳の年齢別人口はおおよそ150万人前後
  • 団塊ジュニア世代(43歳~45歳)の年齢別人口は再度増加し200万人前後
  • 団塊ジュニアより下の世代は徐々に人口が減っていき、現在の30歳は135万人、20歳は125万人、10歳は107万人、0歳は96万人

これをみると人口構成的には現在が最もホテル需要に追い風のタイミングとなっています。

あと2~3年は問題ないと思われますが、5年後には現在の50代後半~60代前半が旅行需要の中心となります。

現在の65歳~70歳前後と比較すると25%前後人口が少なくなっており、その後も10年以上同じレベルとなります。

そして一時的に団塊ジュニアが退職する時期に旅行需要は増加しますが、その後は長期的な減少が始まります。

上記リンク先データを抜粋すると過去10年間の国内ホテル宿泊者数(泊数)は2億泊増加しています。

  • 2007年:合計宿泊者数3.09億泊(日本人2.86億泊,外国人0.22億泊)
  • 2017年:合計宿泊者数5.09億泊(日本人4.29億泊,外国人0.79億泊)

仮に65歳~70歳前後の人口減少による影響で1億泊減少した場合はインバウンドで何人の増加が必要でしょうか?

これもリンク先のデータによると2017年は2,869万人で7,900万泊ですのでインバウンドは平均2.8泊となっています。

よって1億泊をカバーするには訪日外国人旅行者数は3,570万人の増加が必要となります。

2017年は2,869万人ですので6439万人ということになります。

不可能ではないですがかなり大きな数です。

さらに外国人旅行者数の割合が増加すると地震や台風など自然災害による変動が大きくなり,ホテルの経営が難しくなることも問題です。

ホテル投資を行う際にはこれらのリスクも考慮しておくべきだと考えます。

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