「Brexit(ブレグジット)でイギリスは大変」と思っている人も多いようですが、実はそうでもなさそうです。
英国は2016年6月23日に行われた国民投票でEU離脱を選択し、2017年3月29日にEUに対して正式な離脱通知を行っています。
しかし、その後はスケジュールの延期を繰り返しています。
2019年7月24日にボリス・ジョンソン氏が首相に就任して以降、EU離脱機運が再び高まり、早ければ10月にも結論が出そうな状況です。
Brexit (ブレグジット)により、特にポンド安を懸念する声がよく聞かれます。
EU離脱が決まった国民投票の翌日である2016年6月24日に、1日で英ポンド(対ドル)が8.1%も下落したイメージが大きいのかもしれません。
たしかにその後も英ポンドは対米ドルで弱含みで推移しています。
しかし、ポンド安で英国が恩恵を受けているという側面もあります。
新興国とは異なり先進国の場合、通貨がコントロール不能となりハイパーインフレになるリスクはほ それほど高くありません。
通貨安は輸出競争力を高め、景気にプラスとなります。
また、輸出企業の業績が向上することで株価にもポジティブに作用します。
日本をイメージすると分かりやすいと思います。
下記は英国の主要株式指数であるFTSE100推移です。
2016年6月23日のEU離脱決定以降、株価は右肩上がりで過去最高値圈で推移しています。
補足として「実質GDP成長率」「インフレ率」「政策金利」の推移も掲載します。
過去2~3年は実質GDP成長率が1.2%~2.0%、インフレ率が2.0%~3.0%の範囲で推移、政策金利は2回利上げしています。
「Brexitでイギリスは大丈夫か!」と騒がれていますが、これを見る限り日本と比較してもかなり良い環境に見えます。
英ポンドを安くする目的でやっている訳ではないのでしょうが、結果的にBrexitはポンド安により、英国経済にプラスに作用しているようです。
本当に経済がめちゃくちゃになると予想するのであればイギリス人もBrexitを選択しないでしょう。
「ポンドが暴落」と話題になりやすいのは、1992年のポンド危機のイメージもあるのかもしれません。
BOE(イングランド銀行)がジョージソロスに負けた一件です。
当時はイギリスも現在のユーロの前身てあるERM(欧州為替相場メカニズム)に参加しており、これを維持できなくなったことで大きな話題になりました。
しかし、現在は英ポンドを採用しており、変動相場制ですので、ポンド危機のようなことは起こりません。
よって、通貨安はイギリスにとってプラスになります。
「Brexit(ブレグジット)でイギリスは大変」と思っている人が多いようですが、実体は少し異なるようです。