歴史上多くの期間で世界を支配してきた中国、過去200年に渡る近代史において世界を支配してきた米国。
ここから数年間は両国の対立が繰り返される可能性があります。
足元は貿易戦争が始まろうとしていますが、このような形の争いが当面、様々な形で顕在化すると思われます。
- 貿易戦争の要因となっている米国の対中貿易赤字についてはこちら:第一次所得収支・第二次所得収支は2013年以前の所得収支・経常移転収支
ここまで緊張感が高まっているのは中国の経済的な力が高まってきたからと考えられます。
中国は2010年に日本を抜いて世界第2位の経済大国になっています。
その後も低成長の日本をしり目に、中国は高い成長を続け、名目GDPは第3位の日本の2倍以上となっています。
そして2019年にはユーロ圏全体の名目GDPを上回る見通しです。
そして2020年代のどこかで米国も抜いて世界1の経済大国となる見通しです。
これは多少時期が前後してもほぼ確実に起こる現象です。
中国は人口が多いため、生産性(1人当たりGDP)がそれほど高くなくても、名目GDPは大きくなっていきます。
これまでの米国のように経済でトップに立つということは世界をリードする国になるとも言えます。
もちろん、経済規模だけでは判断できませんが、現代では非常に大きなファクターとなります。
米国は世界最大の経済力を背景に、世界最強の軍事力を維持し、米ドルは基軸通貨として世界中で使用されてきました。
特に基軸通貨であることは財政や経常収支で大きなメリットがあります。
世界最大の経済大国であることのメリットは米国が最もよく理解しているでしょう。
よって、今後10年位は特に米国が中国に対して経済成長の阻害となるような施策を取る可能性が高いと言えます。
そうすると中国も黙ってはいないので、今回のような貿易戦争がはじまります。
このような動きはマーケットにとっては良いこととは言えないので注意が必要です。
世界1位と2位の国同士の貿易が停滞すればグローバル経済にとって良くないのは誰が見ても明らかです。
プラス面があるとすれば、米国が中国に対抗するため、経済規模で3位の日本を取り込もうとする動きが活発化し、日本にとって多くのメリットがもたらされる場合です。
極端な例ですが、例えば日本の通貨が円からドルになり、同一経済圏となれば日米ともにメリットがあると思います。
特に日本の株式市場はとんでもなく上がりそうですが、だめですか?
そこまでいかなくても、1位と2位のケンカは3位の重要性が高まり、チャンスとも言えます。
ここでどのような外交政策をとるかで日本の未来が大きく変わりそうです。