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第一次所得収支・第二次所得収支は2013年以前の所得収支・経常移転収支

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第一次所得収支・第二次所得収支という名称は、正直、未だにしっくりきません。

2013年にこれまでの「所得収支」が「第一次所得収支」に、「経常移転収支」が「第二次所得収支」に変更となりました。

個人的には中々なじめないのでなぜ変更したのか不思議に思っています。

それは良いとして、現在の日本の経常黒字の大部分は「第一次所得収支」(以前の所得収支)によるものです。

「第一次所得収支」は海外向けに行っている直接投資・証券投資から得られる利子・配当金です。

日本の経常黒字の柱は1990年代は貿易収支の黒字でした。

2000年頃からリーマンショツク前の2007年は貿易収支の黒字と第一次所得収支の黒字がほぼ同じ水準でした。

2008年以降は円高が進んだ事と東日本大震災後の原発停止によるエネルギーの輸入増により貿易収支が大きく悪化しました。

2011年~2015年は貿易赤字となりました。

そして、円高により国内製造業の生産拠点が海外にシフトしたこと(直接投資の増加)と外債をはじめとする証券投資が増加したことで、そこから得られる利子・配当が増え、一次所得収支の黒字は着実に増加しています。

トランプ大統領は貿易摩擦を問題化し、関税の見直しなどを訴えていますが、米国の貿易赤字において対日本の割合は1990年代とは大きく変化しており、現在は10%未満です。

1990代は米国の貿易赤字の内、対日本が60%以上ありました。

現在は米国の貿易赤字の内、対中国が60%以上となっており、「米国vs中国」の貿易摩擦問題はここから過熱するものと思われます。

よって、トランプ大統領も日本に対しては半分ポーズでそれほど問題視していないと思われます。

本当に問題視しているのは中国です。

中国はこのままいくと、2025年~2030年頃には名目GDPでも米国を抜いて世界最大の経済大国になる見通しです。

今後も米国は何かと理由をつけて中国の成長を遅らせようとするでしょう。

貿易摩擦の問題が軟着陸しないと「保護主義」→「戦争」となっていく懸念もあります。

「戦争」までは行かなくても金融マーケットにはマイナス要因ですので、今後の日中貿易摩擦問題はチェックする必要があります。

現在はトランプ大統領があまりにもうるさいので、中国が少し気を使っているのか人民元レートを切り上げています。

ただし、中国も過剰債務問題などで経済的に余裕があるわけではないので今後の展開は注意が必要です。

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