金融庁の地銀に対するリスク管理指導が増加しています。
- ヘッジ外債:米国の金利上昇リスク
- アパートローン:アパートの過剰供給による空室率上昇、ローンの貸し倒れリスク)
- 銀行カードローン・消費者ローン:多重債務者増加による貸し倒れリスク
過去1年~2年で上記について地銀各行に対する指導や立入調査などを行っています。
個人的には少しやり過ぎのような気もします。
地銀は規制業種ですが民間企業で多くは上場企業でもありますのである程度、経営を自由にやらせる必要があると思います。
しかし金融庁は更なる規制・指導を考えているようです。
次のターゲットは私募REITが濃厚のようです。
国内の運用難の影響でここ数年、私募REITは運用残高が急増しています。
下記のリンク先に残高の推移が掲載されていますが、足元では私募REITの保有資産残高は2兆円以上となっています。
私募REITの投資家は40%が地銀や信金などの地域金融機関となっています。
詳細は下記のリンク先に掲載されていますが、ボラティリティが小さい点と業務純益にカウントされる点が人気の理由となっています。
しかし流動性は低く、実物の不動産に投資しているのと同じようなイメージとなる点で金融機関の運用ポートとして保有するのに適しているかと言われると必ずしもそうとは言い切れません。
そこが金融庁も懸念しているのではないでしょうか。
また、J-REITとの比較ではJ一REITのNAV倍率が高い場合は、鑑定評価額をベースに購入できる私募REITの方が割安に不動産投資ができることになりますが、現在、J-REITのNAV倍率は1.07倍まで低下しています。
2014年~2015年のようにNAV倍率が1.5倍前後であれば私募REITが割安に見えますが、ほぼ1倍に近いところまで低下していますのでそれほど割安ではありません。
よって後はボラティリティが低いメリットを取るためにJ-REITのような流動性を放棄するということになります。
また、ボラティリティが小さいと言っても、マーケット急落時は一気に多額の損失が発生する可能性もあります。
上記で銀行の経営をもう少し自由にやらせるべきと書いたので矛盾しますが、本来あるべき銀行経営の観点で考えると私募REITや投信などで余剰資金を運用することは最小限にすべきだと思います。
よってこの部分についての金融庁の規制・指導はあっても良いと考えます。
リーマンショックの際に運用で大きな損失を出し、問題になった金融機関も多くありましたが、最近それを忘れてまた同じ道を進んでいるところも多いように感じます。
- 私募REITの仕組みやポイントの詳細は下記を参照してください:J-REIT・私募REIT・私募ファンドの違い - ファイナンシャルスター