金融庁の森長官が金融機関の営業姿勢を改革しようと強い姿勢で臨んでいます。
特に頻繁に取り上げられるのが毎月分配型の投信です。
その影響で毎月分配型投信の販売に急ブレーキがかかっており、投信市場全体も残高が伸び悩んでいます。
現在、ETFを除く一般的な公募投信の運用資産残高ランキングの上位は大半が毎月分配型投信です。
さらにトップ10のうち6ファンドが米国リートか世界リートに投資する商品です。
公募投信の運用資産残高ランキングトップ3は
- フィデリティ・USリート
- 新光US-REITオープン(ゼウス)
- ラサールグローバルREIT
この3ファンドのみ運用資産残高が1兆円を超えています。
金融庁は金融機関が高い分配金利回りで顧客を誘導していると指摘しています。
確かにいずれのファンドも分配金利回りは高い水準です。
フィデリティ・USリートは昨年分配金を下げましたが、それでも2017/3/31基準で20%近い分配金利回りとなっています。
しかし、この分配金利回りに惑わされることだけで何兆円もの資金が米国リート(グローバルリート)に流れてくるでしょうか?
例えばフィデリティ・USリートに5年前投資した場合(2012/4/2~2017/3/31)を見てみます。
2012/4/2の基準価格は5,698円でした。
そのまま分配金を受け取りながら2017/3/31まで保有していた場合、基準価格4,327円になっていますので24%の下落です。
しかし、5年間受け取った分配金の累計は5,330円になります。
つまり投資金額のほぼ全てを既に分配金で回収したことになります。
元本をほぼすべて回収したうえで、投資金額の76%がまだ運用されているという状況ですので非常に良いパフォーマンスです。
トータルリターンに関しては投資家も満足しているはずです。
このように米国リートやグローバルリートの毎月分配型投信に資金が集まるのは、分配金利回りが高いということもありますが、それ以上に高いパフォーマンスがと高い満足度が理由と考えられます。
そうでないと何兆円も集まることはありません。(そこまで日本人はバカではありません)
つまり、毎月分配型投信が悪い訳ではないのです。
必要以上に高い分配金利回りは問題がありますが、一定のインカム収入を受け取りたいというニーズは必ずあります。
特に高齢者にはそのニーズが高いと感じます。
日本の金融資産の大半は高齢者が保有しています。
よって、一概に毎月分配型投信を悪者にする必要はないと感じます。
それよりいかに利益が上がるかにフォーカスすべきです。
毎月分配型についての考察はこちらも参照してください!