2017年4月時点で都心5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)のオフィスビル空室率は3.6%まで低下しています。
- 都心5区のオフィスビルデータはこちらを参照:東京都心5区オフィスビル空室率、平均賃料、各種データ - ファイナンシャルスター
本来、空室率が5%を下回ると賃料が上昇すると言われていますが、5%を下回って2年近く経ちますが賃料が本格的に上昇する気配はありません。
賃料が上昇しないので、利回り面からオフィス系J-REITなどが購入できず、需給面も悪化しています。
オフィス賃料が上昇しない要因は下記の通りです。
- 2018年からのオフィス大量供給
- 在宅勤務、フリーアドレスが増加
- 日本企業の従業員が減少傾向
- 東京以外の周辺地域は空室率が高い
ちなみに2018年からの大量供給に関しては、建替えが大半でオフィス面積の純増は4割程度と言われていますので、実際の供給は言われているほどではありません。
やはり問題なのは需要が増加しないことでしょう。
経済規模の縮小、人口の減少、デフレに加え働き方の変化で在宅勤務などが増えてきています。このトレンドは今後も続きそうです。
そして、2000年前半以降の大規模オフィス建設ラッシュでオフィスビルのストックはかなりの規模になっています。
つまり、何らかの抜本的対策がなければ、オフィスビル賃料は大きく上昇することはないということです。
J-REITの時価総額1位・2位のオフィスビル専業REITである日本ビルファンドとジャパンリアルエステイトは3年以上、横這いの動きとなっています。
都心のオフィスビルの賃料が上昇しないため、利回り面から新規の物件を買いにくくなっており、外部成長がストップしています。
このままでは2001年にJ-REITが設立されて以来、時価総額1位・2位を継続してきた日本ビルファンドとジャパンリアルエステイトが他のリートに抜かれる可能性もあります。
だからと言って地方の物件を増やすとマーケットが悪化した際にリスクが大きくなります。
オフィスビル専業REITは現在、非常に難しい状況に直面しています。
外部成長するには、都心の大型ビルには高級ホテルが併設されているケースも増加しているのでそのようなホテルを所有するか、海外のオフィスビルを購入するかしかないでしょう。
それがなければオフィス専業REITの成長は当面厳しいかもしれません。
しかし、日本ビルファンドとジャパンリアルエステイトにはオフィス系REITの雄として、日本のハイグレードオフィスビルのみを保有してほしいようにも感じます。
J-REIT市場の成長にはトップ2銘柄の成長は必須ですので、オフィス賃料の上昇に期待したいです。