投信・ETF(株式型)

ラップ(SMA・ファンドラップ)の問題点

投稿日:2018年8月28日 更新日:

ラップをヘッジファンドのように機動的な運用をしてくれると勘違いしている人が多い

ラップ(SMA・ファンドラップ)に預けておけば、マーケット環境に合わせて資産のアロケーションを変更し上手く運用してくれると思っている人が多いのではないでしょうか?

ラップ(SMA・ファンドラップ)はヘッジファンドのようにマーケットのバリュエーションを分析して機動的に売買する商品ではありません。

基本的にはバランスファンドのようなポートフォリオを組んで、マーケット環境によって若干の調整を行っていくものです。

そして、「マーケット環境による調整」も中長期スパンのもので、マーケットのボラティリティが上昇すればリスク資産を減らしたりする程度です。

ボラティリティの急上昇はマーケットが急落した時に発生しやすいので、「マーケット急落→ボラティリティ上昇→リスク資産減少」となることが多くなります。

よって、マーケット環境が悪化する前に上手く立ち回ってくれるものではありません。

基本的には株式が上昇しないと利益は出ないと思ってよいでしょう。

ただし、ほぼ全ての商品で株式部分はグローバル株式となっており、世界経済は資本主義が崩壊しない限りは長期的に成長すると思われますので途中でリーマンショックのような苦しい局面があっても、継続保有すればグローバル株式は再度上昇する可能性が高いと思われます。

国内債券部分はコストを考慮するとマイナス利回り

特に安定型のポートフォリオを選んでいる人は注意が必要です。

ポートフォリオの中に円債や円ヘッジ付きの外債が組み入れられていると思います。

現在のマーケット環境では円債も円ヘッジ付き外債もコスト控除後ではマイナス利回りとなります。

例えば多くのファンドラップでは残高に対し1.5%前後のコストがかかります。

円債ポートで1.5%を上回ることは不可能です。

そのため円債ポートの代替として円ヘッジ付き外債ポートを活用するケースが多くなります。

ただし、米国の投資適格社債の最終利回りは3.0%程度です。

現在、ドル円のヘッジコストが2.5%程度ですので、ファンドラップのコストと併せると4.0%のコストとなりマイナス利回りとなります。

米国ハイイールド社債であれば最終利回りが6.5%程度はありますのでコスト控除後でも2.5%程度は残ります。

しかし、一般的に円ヘッジ外債の大部分は投資適格社債です。

商品によっては安定タイプのコースで、マイナス利回りとなる資産クラスが70%も占める場合があります。

これではなかなか利益が出ませんので注意が必要です。

法人がラップを契約すると経理処理が大変

ラップは仕組み上、複数の投信などを別々に保有している形になります。

よってアロケーションの変更やリバランスなどを行うと投信の売買をしたことになります。

個人であれば特定口座の源泉徴収ありにしておけば特に問題ありませんが、法人の場合は経理処理が発生したり、損益が発生したりして非常に大変です。

決算期末に急に損益が発生して困るという話もよく聞きます。

法人口座でのラップ契約については注意してください。

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