前回、日本株最大のアクティブファンドである「ひふみ投信」のパフォーマンスが悪化している記事を掲載しました。
今回は、独立系運用会社の老舗・さわかみ投信が運用する「さわかみファンド」のパフォーマンスを確認します。
1999年8月の設定からまもなく20周年を迎えます。
運用資産残高は約3,000億円と高水準を維持しています。
分配金は出しておらず、基準価格は24,000円前後です。
20年間で2.4倍ですので年率換算で4.5%のリターンです。
設定来のTOPIX(配当込み)との比較はこちらです。
さわかみファンドが2.4倍になっているのに対しTOPIXは1.48倍です。
設定来では非常に良好なパフォーマンスです。
しかし、直近過去10年のパフォーマンスでは少し様子が異なります。
ほぼTOPIXに連動しています。
しかも数%ですがTOPIXを下回っています。
現在のポートフォリオをみると100銘柄以上に分散しています。
これだけ分散すると、ほとんどインデックス並みのパフォーマンスにしかなりません。
過去の経験則では余程特徴的な銘柄に投資しない限り、50銘柄以上に分散するとほとんどTOPIXと同じ推移になってしまいます。
このようなパフォーマンスでは高いコストを払ってまで投資する意味がありません。
もう少しアクティブな運用を期待したいです。
ただし、さわかみファンドの特徴としてマーケットが割高な時にキャッシュポジションを高めて、マーケットが下落した場合でもファンドの基準価格下落を抑えるという戦略があります。
実際、設定来の超過収益のかなりの部分がマーケット下落時に発生しています。
こちらのチャートではITバブル崩壊後の下落局面においてファンドの下落幅を抑えられたことが分かります。
(ちなみにリーマンショック時はTOPIXに対して最大で5%程度の下落抑制効果しかありませんでした)
今後いつ来るか分かりませんが、ショックが発生した場合には通常のファンドよりも少し安心かもしれません。
後はもう少し特徴ある銘柄選択に期待です。
また、ファンドを保有している投資家は長期のパフォーマンスだけでなく、足元のパフォーマンスも定期的にチェックする必要があります。
前回紹介した「ひふみ投信」もそうでしたが、長期のパフォーマンスが良好だと、足元の不調が隠れてしまいがちになります。
月次レポートをしっかりと確認しましょう。