FRBのバランスシート縮小が今年(2017年)のいずれかのタイミングでスタートします。
バランスシートの縮小ペースは既に発表されています。
当初は毎月100億ドルの減少でスタートし、徐々にペースを上げ、最終的には毎月500億ドルずつ減少させていくスケジュールです。
- バランスシート縮小スケジュールの詳細はこちらを参照してください:FRBバランスシート縮小は円安・ドル高要因
あまり報道されていませんがこのペースだとものすごく時間がかかると思いませんか?
FRBのバランスシートは2008年10月の量的緩和前は0.9兆ドルで、現在は4.5兆ドルまで拡大しています。
これを0.9兆ドルに戻すには3.6兆ドルのバランスシート縮小が必要です。
公表されたスケジュールで具体的にシュミレーションをしてみました。
2017年の12月から開始されたと仮定します。
縮小ペースは下記の通りです。
- 2017年12月~2018年2月:毎月100億ドル
- 2018年3月~2018年5月:毎月200億ドル
- 2018年6月~2018年8月:毎月300億ドル
- 2018年9月~2018年11月:毎月400億ドル
- 2018年12月以降:毎月500億ドル
上記のスケジュールで累計3.6兆ドル(36.000億ドル)を縮小するのにどれくらいかかるでしょうか。
- 2018年12月時点の累計縮小額:3,500億ドル
- 2019年12月時点の累計縮小額:9,500億ドル
- 2020年12月時点の累計縮小額:1.55兆ドル
- 2021年12月時点の累計縮小額:2.15兆ドル
- 2022年12月時点の累計縮小額:2.75兆ドル
- 2023年12月時点の累計縮小額:3.35兆ドル
- 2024年 6月時点の累計縮小額:3.6兆ドル
FRBのバランスシートが量的緩和前の規模に戻るのは、なんと7年後です。
バランスシート縮小は金融引き締め政策の一環ですので7年後まで景気が後退しないという前提なのでしょうか?
既にリーマンショック後の景気拡大は9年目となっています。
一般的に考えると米国のような先進国が16年間も景気が拡大し続けるのは難しいとも思われます。
よって、FRBのバランスシートは以前の規模に戻る前に、どこか米国経済がスローダウンしたタイミングで縮小がストップする形になるでしょう。
その時の景気悪化の度合いによっては再度、バランスシート拡大といった施策がとられるかもしれません。
その可能性を考えた場合、少しでもバランスシートを縮小しておくことは金融政策の柔軟性を保つ上でも重要です。
よって、FRBのバランスシート縮小は将来の米国経済を考えた上でもプラスになると思われます。
そして、再度バランスシート拡大となった場合、前回と同様に金(GOLD)が上昇する可能性が高くなります。
そういう意味では、バランスシート縮小で金(GOLD)が安くなった場合は購入しておくのも一案です。
- 金(GOLD)投資についてはこちらをどうぞ:金(ゴールド・GOLD)への投資はETFがベスト / 金の果実・SPDR・iシェアーズがおすすめ
- 円ヘッジ付きの金(GOLD)投資はこちら:円ヘッジ付き金(GOLD)投資には最高の環境【GOLD上昇+ヘッジコスト低下】
【2019年3月追加:バランスシート縮小終了】
予想よりも早くバランスシート縮小が終了することになりました。
2019年9月で終了することが確定しました。
QE1~QE3で0.9兆ドルから4.5兆ドルまで拡大したFRBのバランスシートは3.7兆ドルまでの縮小にとどまりました。
現状、そこまで米国経済が悪化しているとは感じませんが、トランプ大統領の圧力によるものですので仕方ありません。
これが、将来、悪い結果にならないことを祈ります。
【2020年7月追加:バランスシート再拡大】
コロナショックの対応でFRBは積極的な量的金融緩和を再開し、バランスシートは急拡大しました。
特に2020年2月以降、バランスシートの拡大ペースがアップしました。
2020年6月時点でFRBのバランスシートは7兆ドルを超えました。