投信・ETF(株式型)

ヘッジファンドは復活するか / 2017年のリターンは+5.99%だが

投稿日:2018年1月11日 更新日:

ヘッジファンド業界全体のパフォーマンスを表す「Hedge Fund Research HFRXグローバル・ヘッジファンド・インデックス」の2017年のパフォーマンスは+5.99%と近年では比較的好調な結果となりました。

ちなみに過去5年のパフォーマンスは下記の通りです。

  • 2016年:+2.50%
  • 2015年:-3.64%
  • 2014年:-0.58%
  • 2013年:+6.72%
  • 2012年:+3.51%

ヘッジファンドのパフォーマンスは黎明期であった1990年代は10%以上が当たり前でした。

年によっては20%以上のリターンを上げていました。

2000年代に入りヘッジファンドが一般的な投資対象として地位を確立すると機関投資家(年金・金融機関等)を中心に資金流入が活発化し運用残高が急増しました。

ヘッジファンド業界全体の運用資産残高は1995年に1,860億ドルでしたが、現在は約3兆ドルまで増加しています。

ヘッジファンドのリターンの源泉は「市場の非効率」にありますが、運用残高が増えるとリターンを上げにくなってきました。

2017年は2013年以来4年ぶりに5%以上のリターンとなりましたが、これはマーケット環境が極めて良好であったことが要因でもあります。

2017年はSP500が+19.42%、TOPIXが+19.69%、MSCIエマージングインデックスが+34.35%と世界中の株式が大きく上昇しました。

株式市場以外の債券市場やコモディティ市場でも特にパフォーマンスの悪い資産クラスはありませんでした。

よって株式市場等のパフォーマンスから考えるとヘッジファンドのパフォーマンスは少し物足りないように感じます。

また、ヘッジファンドインデックスにはいわゆる「生存バイアス」があるため、実際にヘッジファンドに投資した場合のリターンはもう少し下になります。

これらを考慮するとヘッジファンド業界全体のパフォーマンス低下についての問題は解決するまで時間がかかりそうです。

運用残高がもう少し減少しないと安定的に高いリターンを上げることは難しいと思います。

運用コストや流動性を考えるとインデックスベースでも10%前後のリターンは欲しいところです。

もちろん個々のヘッジファンドをみると好調なパフォーマンスを計上しているものもありますが、これも長期的に高いパフォーマンスを継続することはかなり大変です。

ピーク時の運用資産残高が400億ドルと世界最大級のヘッジファンドとなった「ブレバンハワード」もここ数年のパフォーマンス低下で運用資産残高が100億ドルまで減少しています。

2017年のパフォーマンスも若干のマイナスになったようです。

このように一時的に高いパフォーマンスを計上しても「パフォーマンス好調→資金流入増加→パフォーマンス低迷」のパターンになるケースが極めて多いのがヘッジファンドの世界とも言えます。

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