これまでも何度か原油関連の投資が難しい点について掲載してきましたが、こちらのページでは原油価格が大きく下落した時に何に投資すれば利益を上げることができるかを検証しています。
最初はこれまでも紹介したことのある原油ETFについてです。
WTI原油先物がマイナスの日に投資してもETFはマイナス
2020年4月20日にWTI原油先物(5月限)が初めてマイナスとなりました。
一時、1バレル=-37.63ドルまで下落しました。
当時は新型コロナウイルスの影響で原油需要が大きく停滞し、貯蔵施設のキャパシティが上限に近づいていました。
一方、WTI原油先物5月限の最終取引日は2020年4月21日であり、この日までに決済しないと現物で受け取る必要があります。
現物の保管コストの大幅上昇を嫌った売りが大量に出た結果、WTI原油先物はマイナスの価格となりました。
「WTI原油先物がマイナス!」という出来事はニュース等でも大きく取り上げられたことで、原油に対する注目度は高まりました。
日本でも2020年4月20日から原油関連ETFの出来高が急増しています。
例えばWTI原油価格連動型上場投信(1671)の売買高は前営業日である4月17日と比較して約4倍になっています。
その後、原油価格は回復し、2020年6月19日現在のWTI原油先物は1バレル=35ドルを超える水準まで回復しています。
しかし、WTI原油先物(5月限)が1バレル=-37.63ドルまで下落した2020年4月20日にWTI原油価格連動型上場投信(1671)を買った場合、現在でもまだマイナスです。
WTI原油先物とWTI原油価格連動型上場投信(1671)の比較チャートはこちらです。
WTI原油価格連動型上場投信(1671)の2020年4月20日の終値は917円で、その後最も上昇した時でも885円です。
これはETFが投資している先物が必ずしも直近限月ではないことと、先物のロールコストが要因です。
- この点についてはこちらに詳しく掲載していますので参考にしてください:WTI原油先物とETFのパフォーマンスが乖離する理由【先物は+7.1%・ETFは−47.2%】
もちろん、もう少し後に買い付けしていれば儲かったタイミングもありますが、ETFの投資の難しさが分かります。
それではETF以外の何に投資すれば儲かったのかを確認します。
WTI原油先物がマイナスの日にロシアルーブルとMLPに投資した場合を検証
原油関連の投資先として代表的なロシアルーブルとMLPについて検証してます。
ロシアは国の収入に占める原油関連の割合が大きいことから、ロシアルーブルは「金利付き原油取引」と言われるほど原油価格との相関が高いことで知られています。
MLPは利益の源泉がパイプラインの使用料であることから、本来は原油価格との相関はそれほど高くないはずですが、イメージ的なものもあり、過去のトラックレコードでも原油価格と高い相関が確認できます。
- ロシアルーブルとMLPの原油価格との関係はこちらも参考にしてください:原油安でマイナスになる資産とプラスになる資産のまとめ
WTI原油先物とロシアルーブル・MLPの比較チャートです。
チャートの動きを比較するとロシアルーブルもMLPも原油価格と相関が高いことが確認できます。
そして、いずれも似たような動きになっていますが、WTI原油先物がマイナスの日(2020年4月20日)に投資した場合、口シアルーブル・MLP共にプラスになっています。
更に、ロシアルーブルもMLPも上記チャートで確認できるキャピタルゲイン以外にインカムゲイン(金利・配当)も享受できます。
これを見る限り、上記のETFに比べてロシアルーブル・MLPの方が原油のリバウンドを取りやすそうです。
ロシアルーブルとMLPは原油価格が下落した時の投資対象として有効と言えそうです。
今後、原油価格が下落した際には是非参考にしてください。