アベノミクスは運が良かっただけ?
2012年12月に安倍政権(アベノミクス)がスタートして以来、経済は上向きとなっています。
インフレ率もプラスとなりデフレを脱却しています。
さらに株式市場・不動産市場も大きく上昇しています。
- アベノミクス景気についてはこちらをご覧ください:アベノミクス景気はイメージよりも実態が伴っている / 景気拡大期間ランキングと株価・GDPの推移 - ファイナンシャルスター
その為、安倍政権は3期目に入り長期政権を実現しています。
しかし、冷静に分析すると、たまたまタイミングが良かっただけということも多くあるようです。
個人的には企業にROE経営を推進したことやコーポレートガバナンスコード、スチュワードシップコードなどは非常に良い政策であったと思います。
しかし、一見、安倍政権の手柄のように見える下記の出来事についてはほとんどタイミングが良かっただけのようです。
ただし、運も実力のうちと言いますので、景気が良くなればそれでいいと思いましょう。
下記では安倍政権誕生前後に偶然発生したラッキーな事象について取り上げています。
安倍政権誕生前後に偶然起こった出来事
東京オリンピック開催決定
安倍政権誕生から9か月後の2013年9月、2020年東京オリンピック開催が決定しました。
もともと2016年の東京オリンピック開催をめざし、2006年から準備していたものです。
よって、安倍政権が企図したものではありませんが、タイミングよく政権誕生後に開催が決定しました。
オリンピック開催で建設関連・不動産関連(REIT含む)をはじめとする様々な方面にプラス効果がありました。
訪日外国人旅行者(インバウンド)の増加
安倍政権誕生直後の2013年頃から訪日外国人旅行者(インバウンド)が急増しています。
大きな要因としては次の3点があげられます。
- 円高是正
- ビザ発給要件の緩和
- 中国等の経済成長による所得の増加
円高是正はアベノミクス(黒田日銀)のお手柄ですが、それよりも大きいのがビザの緩和です。
ただし、ビザの緩和については安倍政権誕生後に急に始めたわけではありません。
安倍政権時にも大きく進展させましたが、もともと政府が観光立国の推進を本気で始めたのは小泉政権時の2003年頃です。
このころから準備が進み、2010年以降に中国や台湾・マレーシア等のビザ発行要件が段階的に緩和されました。
これにアジア圈の新興国の経済成長が進み国民の所得が増えたことで訪日外国人旅行者(インバウンド)が急増しました。
景気循環が約50年ぶりのゴールデンサイクル
個人的にはこれが大きかったと思っています。
代表的な景気循環としてキチン循環、ジュグラー循環、クズネッツ循環、コンドラチェフ循環があります。
各景気循環の定義は次の通りです。
- キチン循環:短期(40ヶ月)、在庫投資に起因
- ジュグラー循環:中期(10年)、設備投資に起因
- クズネッツ循環:長期(20年)、建築需要に起因
- コンドラチェフ循環:超長期(50年)、技術革新に起因
安倍政権誕生直後の2013年に4つの景気循環が全て上向きになりました。
これは約50年振りの出来事です。
若干、景気が上向きに見えたのはたまたま景気が良くなるタイミングであったようです。
- 景気循環についての詳細はこちらをご覧ください:4つの景気循環(キチン・ジュグラー・クズネッツ・コンドラチェフ)は投資に活用できる - ファイナンシャルスター
安倍首相は何という強運の持ち主なのでしょう。
団塊世代の退職
年代別の人口が多い「団塊世代(1947年~49年生)」は2013年から65歳となり退職を迎えました。
その前後の世代も含め2010年頃から退職者が急増しています。
これにより国内旅行者が急増しました。
子育ても終わり、お金に若干余裕があり、体力もある退職者が国内旅行に行くケースが増えました。
国内のホテル需要が高まっているのはインバウンドによるものと言われることが多いですが、実は70%は日本人による需要増加です。
これもタイミングよく安倍政権誕生前後から始まった現象ですが、日本人の人口動態によるもので完全に偶然です。
- ホテル需要の推移についての詳細はこちらをご覧ください:ホテル需給はインバウンドだけでなく日本の人ロ構成の分析も重要 - ファイナンシャルスター
最後に、安倍首相は一度、総理をやめて再登板しましたが、もしかするとこれらを理解していたからではないかとさえ思ってしまいます。