2018年8月24日、琉球銀行が公募増資を発表しました。
最大約65億円の調達となり、発行済株式数は約12%増加します。
ちなみに琉球銀行に関するデータはこちらです。
- 時価総額:514億円
- PER:8.5倍
- PBR:0.43倍
- 当期利益:78億円(2018年3月期)、50億円(2019年3月期予想)
まず、PBRが0.43倍で新株発行による公募増資はどう考えてもおかしいです。
PBRが1倍を下回る状態での増資はディスカウント増資といって既存の投資家にとってはマイナスとなります。
上記の時価総額とPBRから計算すると琉球銀行の純資産は1195億円(514億円÷0.43)です。
PBRが1倍ちょうどであれば公募増資によって増加する株式数と純資産は同じ比率で増加しますが、ディスカウント増資の場合は株式数の増加に対して純資産の増加割合が小さくなります。
琉球銀行の場合は発行済株式数が約12%増加するのに対し、自己資本は5.4% (65億/1195億)しか増加しません。
しかも、2018年3月期は78億円の当期利益を計上しており、今期も50億円の黒字予想です。
どう考えても無理に公募増資をする意味が分かりません。
また、実は琉球銀行以外でも地方銀行による公募増資は行われています。
- 2017年1月:みちのく銀行
- 2017年2月:大垣共立銀行
- 2017年6月:南都銀行
- 2018年6月:清水銀行
いずれもPBRが0.3~0.4倍でのディスカウント増資で、公募増資発表後の株価は大幅に下落、その後リバウンドしていない点は全て共通しています。
当たり前の結果ではありますが。。。。
例として清水銀行の株価チャートを掲載します。
他の銘柄もすべて同じパターンです。
2018/5/25の公募増資発表前は3000円以上で推移していましたが、その後2000円前後まで下落しています。
全てこのパターンで分かっているのにそれでも増資を行うということは何か裏があるのでしょうか?
1番可能性があるのは資産として保有している本支店の土地建物の減損を行う可能性です。
本業が低迷する中、収益を生んでいない支店の減損や支店の統廃合により発生する売却損を想定している可能性があります。
ちなみに三菱UFJフィナンシャル・グループは2018年3月期に三菱UFJ銀行の店舗の収益力の低下に伴う減損処理で400億円を計上しました。
三菱UFJ銀行でも減損している訳ですから、地方銀行で起こらないはずがありません。
その為に公募増資を使って資本を強化しているとしたら大きな問題です。
公募増資の目論見書に書かれているように、貸出の増加に調達資金を活用してくれることを期待したいです。