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空売り比率は過去最高水準 / 信用売り残は過去平均以下の水準

投稿日:2018年4月6日 更新日:

2018年3月26日の記事で「空売り比率」についての勘違いを警告しましたが、今回は追加の情報です。

しつこいようですが、ツイッターなどで間違った解釈で情報を発信している人があまりにも多いのですみません。

空売り比率と信用売り残は違う

おそらく勘違いをしている人の多くは「空売り比率」を「信用売り残(空売り残)」と同様に理解していると思われます。

「空売り比率」は「信用売り残(空売り残)」とは違います。

「空売り比率」が歴史的高水準で推移しているため、買戻しのマグマが溜まっていると発言する人が多くなっていますが、タイトルにもあるように「信用売り残」は過去平均以下の水準です。

下記では「空売り比率」と「信用売り残(空売り残)」について解説します。

空売り比率について

空売り比率は売り注文全体に占める空売りの比率です。

  • 空売り比率=信用売り金額÷合計売り金額(=売買代金)×100

東証が公表している「空売り比率」は2018年4月3日時点で45.3%と過去最高水準で推移しています。

ちなみに「空売り比率」の過去最高は2018年3月23日の50.3%です。

「空売り比率」は2008年~2013年までは20%~30%の水準で、2013年以降、右肩上がりの上昇となっています。

これをみて買戻しのマグマが溜まっているという人が多いですが、間違いです。

次に「信用売り残」について触れてみます。

信用売り残について

「信用売り残」は空売りをして、まだ買戻しをしていない残高です。

よって、「信用売り残」はまさに買戻しのマグマと言えます。

まず、2018年4月4日の日経新聞の記事を掲載します。

【株信用売り残、1年半ぶり低水準個人が買い戻し】

東京証券取引所が3日発表した3月30日時点の信用取引の売り残高(東京・名古屋2市場、制度信用と一般信用の合計)は7348億円と、1年半ぶりの低さとなった。3月期決算企業の株主優待の権利が確定した後に個人投資家が信用売り残高を減らした。先週は株価が大きく上昇し、信用取引で売り建てていた個人が損失回避を目的に持ち高の解消に動いた。

23日申し込み時点から2053億円減り、4週ぶりに減少に転じた。信用売りと現物買いを同時に使い配当や優待の権利を受け取ろうとした個人が3月28日の確定後に売り残を解消した。株価の変動リスクを取らない「クロス取引」を駆使して優待の権利を得ようとする手法で、「個人投資家の間で広がっている」(岡三証券の小川佳紀氏)という。

この週(26~30日)の日経平均株価は週間で836円(4%)高となった。1058円(5%)安だった前の週から一転して大幅に上昇。相場の下値が限定的になるとの見方から、積み上がっていた売り残を解消する動きも広がったようだ。

上記の通り、足元の信用売り残は減少して1年半ぶりの低水準です。

では「信用売り残」のもう少し長いチャートを見てみます。

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チャートを見て分かるように長期的に見ても「信用売り残」の水準は高くありません。

東証が空売り比率の公表を開始した2008年10月と現在のデータを比較するしてもこのような感じです。

2008年10月末の「空売り比率」と「信用売り残」

  • 空売り比率:約20%
  • 信用売り残:8000億円

2018年3月末の「空売り比率」と「信用売り残」

  • 空売り比率:約45%
  • 信用売り残:7000億円

このように「空売り比率」が大きく上昇していますが、買い戻しのマグマである「信用売り残」はそれ程上昇していないことが分かります。

ちなみに「空売り比率」が上昇しているのは2013年に行われた2つの法改正による影響が大きくなっています。

本日の朝のテレビでもコメンテーターが空売り比率に言及していましたが、多分、上記の内容を理解していないようでした。

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