「空売り比率」は「空売り残」ではない
- 「空売り比率が過去最高の50%超えで買戻しのマグマが溜まっている」
- 「空売り比率が高水準、踏み上げに気を付けて」
- 「空売り比率高いけど、売ってる人大丈夫?」
このようなコメントをSNSで多く見かけます。
特にTwitterで多いようです。
おそらく、「空売り比率」と「空売り残」を混同しているのではないでしょうか?
少なくとも東証が公表している「空売り比率」は「空売り残」を意味しません。
空売り比率は売り注文全体に占める空売りの比率です。
- 空売り比率=信用売り金額÷合計売り金額(=売買代金)×100
「空売り→買戻し→空売り→買戻し」を一日に何回も行うと空売り比率はどんどん上昇します。
よって、空売り比率が増えたからといって、将来の買戻しによる買い需要が増えるということはありません。
しかも、近年「空売り比率」が上昇しているのは株価の変動によるものではなく、2013年に行われた2つの法改正によるものです。
この間違いは恥ずかしいので、是非、覚えておいてください。
- 空売り比率の意味と2つの法改正により空売り比率が上昇している理由はこちらを参照してください:「空売り比率」の意味を間違えていませんか? - ファイナンシャルスター
- 空売り比率を勘違いしている人の多くは信用売り残と混同していると思われます。空売り比率と信用売り残についてはこちらを参照してください:空売り比率は過去最高水準 / 信用売り残は過去平均以下の水準
「空売り比率」以外にも勘違いしていることは多い
上記のメインサイトの記事がかなり拡散されたので理解して頂いている方も増えたと思いますが、未だに勘違いしているコメントを多く見かけます。
それどころか「大手新聞社のニュース」や「証券会社のサイト」でも勘違いしていると思われるものがいくつも存在します。
残念ですが日本の金融界の「あるある」の1つと言えます。
当サイト「ファイナンシャルスターlite」と当サイトのメインサイト「ファイナンシャルスター」は日本の金融界のレベルアップを目的としており、このようないい加減な情報によって投資家が不利益を被ることが少しでも無くなれば良いと思い運営しています。
そして、「空売り比率」以外にもこのような勘違いはたくさんあります。
例えば下記の2つは金融機関の職員を含めて多くの人が勘違いしています。
- 物価連動国債の商品性
- PFF(iシェアーズ 優先株式&インカム証券ETF)の利回り
これらについてのポイントは下記の通りです。また、詳細な説明は下記のリンク先をご覧下さい。
- 物価連動国債は元々の期待インフレ率を超える物価上昇があって初めてプラスαのリターンが得られます。インフレにならなければマイナスの利回りになる可能性が高くなります。詳しくはこちら:MHAM物価連動国債ファンド(未来予想)/物価連動国債の投資環境 - ファイナンシャルスター
- PFFの利回りは直接利回りで最終利回りではありません。詳しくはこちら:「iシェアーズ 米国優先株式ETF(PFF)【ETF】/米国優先証券の分かりやすい説明 - ファイナンシャルスター
このように日本の金融界では多くの人が勘違いしたままになっている事が本当に多くあります。
金融リテラシーを高めて、できるだけリスクを抑えながら資産を増やしましょう。