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ヘッジファンドがいまいち好きになれない理由

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前回に続きヘッジファンドについてのお話です。

個人的にヘッジファンドがいまいち好きになれません。

今回はその理由を2つ紹介します。

ヘッジファンドがいまいち好きになれない理由①一発当てれば食っていける

前回の記事でヘッジファンドは一時的に良いパフォーマンスを計上しても、それを継続することは難しいと書きました。

投資家の立場で考えると長期的に利益を上げてもらわないとお金が増えないので投資している意味はありません。

しかし、ここで問題なのはファンドマネージャーの立場からすると必ずしも長期的に利益を上げないとやっていけないわけではないという点です

理由を下記で説明します。

まず、ファンドマネージャーが受け取る報酬は大きく分けて2つあります。

運用報酬(マネージメントフィー)と成功報酬(パフォーマンスフィー)です。

一般的なヘッジファンドの例を挙げると運用報酬(マネージメントフィー)が2%、成功報酬(パフォーマンスフィー)が20%といった形でよく「2の20」と言われます。

仮に運用資産残高が300億円あり、ある年に20%のリターンを計上した場合の報酬は運用報酬(マネージメントフィー)が6億円、成功報酬(パフォーマンスフィー)が12億円となります。

もちろんファンド運営には一定のコストがかかりますが、少なくとも成功報酬(パフォーマンスフィー)の部分は全てが利益となります。

個人的に問題だと思う点は、成功報酬(パフォーマンスフィー)は多くの場合1年ごとの運用成績によって計算され、マイナスになった年があっても返す必要がないということです。

そのため短期的にしかリターンを上げられなくてもファンドマネージャーとしてやっていけることになります。

このパターンの最も顕著な例がジョン・ポールソンです。

リーマンショック時にサブプライムローンの下落に賭けたポジションにより大きく利益を計上し、2007年~2009年で80億ドルの成功報酬(パフォーマンスフィー)を得ました。

運用資産残高もリーマンショック前は日本円ベースで数百億円とそれ程大きくありませんでしたが、2011年のピーク時は4兆円以上となりました。

しかし、パフォーマンスが良かったのは2007年~2009年のみでその後はマイナスリターンの年が大半です。

M&Aアービトラージ戦略の「ポールソン・パートナース・エンハンスト・ファンド」は2014年~2017年の4年間で70%のマイナスとなっています。

そのため現在のポールソン社全体の運用資産残高は約1兆円まで減少しています。

さらにその1兆円の内、8000億円はポールソンの自己資金とのことです。

つまり顧客の運用資産はほとんどなくなっています。

これだけパフォーマンスが悪ければ当たり前です。

それでも3年間(2007年~2009年)の高パフォーマンスのおかげで、その後10年近くパフォーマンスが悪くても巨額の個人資産を築くことができています。

投資家は大きく損をした人の方が多いにもかかわらず巨額の報酬が得られる仕組みは少しおかしいと感じます。

ヘッジファンドがいまいち好きになれない理由②運用に失敗しても別ファンドでやり直し

ファンドを設立してパフォーマンスが悪いとファンドをクローズして、ほとぼりが冷めたころに違うファンドを設立するパターンです。

ファンドに資金を集めるためには高いパフォーマンスを上げることが最も手っ取り早い手段です。

そのためリスクを取ったポートフォリオを構築し、上手くいけば+50%のような高いパフォーマンスのトラックレコードをエサに投資家を集めることができます。

運用が上手くいかない場合はファンドを償還させて、また新しいファンドを設定します。

別の会社を立ち上げて新ファンドを設定することもあります。

これではトラックレコードとファンドマネジャーの能力が一致しません。

インチキです。

一生懸命やっているヘッジファンドが大半だと思いますが、このようなファンドマネージャーを何人も見たことがあるので、いまいちヘッジファンドが好きになれません。

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