ケネディクス・レジデンシャルとジャパン・シニアリビングが合併します。
実質的にはケネディクス・レジデンシャル投資法人(3278)によるジャパン・シニアリビング投資法人(3460)の吸収合併です。
ジャパン・シニアリビングは2015年7月にヘルスケア施設特化型のリートとして上場しました。
ヘルスケア施設特化型リートとしては日本ヘルスケア投資法人(3308)、ヘルスケア&メディカル投資法人(3455)についで3番目の上場となりました。
公募価格190,000円を上回ったのは上場初日のほんの一瞬で、上場来高値は190,500円です。
翌日以降、一貫して下落しも最安値は125,000円です。
過去1年間は140,000円前後でのレンジで推移していました。
投資法人名にケネディクスの名は入っていませんが、ケネディクスも当初からスポンサーの1社となっておりジャパン・シニアリビングの運用会社に60%出資しています。
それ以外のスポンサーは長谷エコーポレーションや新生銀行、SOMPOホールディングス、三菱UFJ信託銀行などです。
ジャパン・シニアリビングの時価総額はJ-REITの中で下から2番目の120億円前後です。
加えて、上記のスポンサーでは外部成長(物件供給)にも大きな期待はできません。
このままでは流動性も低く、投資家には相手にされないとの判断で今回、合併することにしたと思われます。
ここまで下げてから合併といわれても納得がいかない投資家もいるとは思いますが、個人的にはこのままジャパンシニアリビングを上場させておいても評価が高くなることはないと思うので合併に賛成です。
実際、昨日はジャパン・シニアリビングが10,000円高の148,000円となりました。
ケネディクス・レジデンシャルの1:2の株式分割後の合併比率が1:1ですので、ケネディクス・レジデンシャルの投資口価格は7,600円高の296,100円と理論値通りになりました。
合併前の1囗当たりの予想分配金はケネディクス・レジデンシャル(1:2分割後ベース)が3,400円、ジャパン・シニアリビングが3,500円です。
合併後の新ケネディクス・レジデンシャルは3,570円となり、どちらの投資家から見ても増配となります。
また、ジャパン・シニアリビングはPBRが1倍を大きく下回っていることから、今回の合併により「負ののれん」が発生します。
帳簿価格より低い価格で買収した場合、帳簿価格と買収価格の差が「マイナスの費用」という形で剰余金が発生します。
- リートの負のれんについてはこちら:J-REITの「負ののれん」 - ファイナンシャルスター
負ののれんを活用することで分配金の安定化や含み損のある物件の入替が可能となり、リート運営の柔軟性が高まります。
このように今回の合併はWIN-WINのディールといえるのではないでしょうか。
さらにケネディクス・レジデンシャルは2017年2月に運用ガイドラインを変更し、ホテルの組入れも可能となっています。
新ケネディクス・レジデンシャルのガイドラインは下記の通りで安定性と成長性が期待できる仕組みとなっています。
- レジデンシャル:60%以上
- ヘルスケア施設:20%以下
- 宿泊施設:20%以下
- その他:10%以下