スイスには今後、日本が経済的に復活するためのヒントがあると思います。
2017年9月現在、スイス証券取引所に上場しているスイス企業は236銘柄ありますが、そのうちなんと約80社が特定の分野で世界シェア1位の企業です。
下記に銘柄例を掲載します。
- アデコ:職業・人材紹介
- ネスレ:食品・飲料水
- ノバルティス:眼科薬品
- ロッシュ:癌腫瘍治療薬品
- UBS:プライベートバンキング業務
- ソノバ・ホールディング:補聴器
- ストローマン:歯科インプラント
- ABB:送電システム
スイスという国の特徴として下記が挙げられます。
- 国土が狭い(日本の1/9程度)
- 人口が少ない(約830万人)
- 資源が乏しい
そのためスイスの企業は内需に頼ることができないため、早い段階から世界に積極的に進出しました。
さらに多くの企業の特徴として次の3点に力をいれています。
- 技術革新による付加価値の高い商品の開発
- プランドカの向上
- 選択と集中によりマーケットシェアを高めることで価格決定力を維持
その結果として国の規模と比較すると、きわめて多くの優良グローバル企業が誕生しています。
日本にも優良なグローバル企業が存在しますが、全体から見れば少数派です。
日本企業の場合、付加価値の高い商品を提供できる企業が少なく、直ぐに価格競争に巻き込まれてしまいます。
飲食等のサービス業でも「規模の拡大によるコスト低減で低価格を実現する」パターンが多いように感じます。
この辺りが変化すると日本も生産性の向上、デフレ脱却が現実のものとなるのではないでしょうか。
スイスは国全体としても生産性が高く、一人当たりGDPは約78,000ドルと日本の約2倍で世界第2位となっています。
さらに名目GDP対比の政府債務は45%と日本の239%と比べてもきわめて健全です。
失業率は3%前後で安定しており、経常収支も恒常的に黒字です。
日本はスイスと比べると中途半端に人口も多く、グローバルに進出せず、国内市場に注力していてもなんとかなると錯覚したことが、現在の状況を招いたと思われます。
しかし、日本は人口も大きく減少することが予想されており、国内市場だけで生き残れる時代は終わりました。
既に大企業となっているところは、なかなか変化するのが難しいと考えられるため、中堅企業以下で革新的な企業が増えることを期待したいです。
政府を筆頭に日本人全体の意識改革が必要です。
日本からも真のグローバル企業がいくつも誕生すれば、株式市場も活性化し、結果として国内景気も良くなるでしょう。