WTI原油価格は2016年2月に1バレル=26ドルの直近安値を付けて以降反発し、過去1年は1バレル=40ドル~55ドルのレンジで推移しています。
足元、1バレル=42ドル台まで下落していたことからリバウンドを狙った買いを検討している投資家もいるのではないでしょうか。
原油価格のリバウンドを狙う際の商品として最初に挙げられるのは原油のETFや投信です。
ETF・投信共に原油価格の2倍の動きをするブルベアファンドも存在します。
しかし、原油ETFや原油ファンド(ブルベアを含む)は注意が必要です。
原油を含む多くのコモディテイ関連の場合、現物に投資することができません。
投資をする際は先物に投資する形になります。
ここがポイントです。
先物へ投資した場合、必ず発生するのが先物のロールオーバー(乗換え)の問題です。
先物に投資した場合、通常、数か月ごとにロールオーバーが必要です。
このとき売却する先物と買付する先物の価格が異なり、この価格差がロールコストとなります。
厳密には先物のカーブの形状によりロールオーバーがコストとなる場合と利益になる場合があります。
期先になるほど先物価格が高いコンタンゴの状況ではコストとなり、その逆のバックワーデーションの場合は利益になります。
ただし、一般的にはコンタンゴの場合が大半で、特に原油価格が上昇すると思われる局面ではほぼコンタンゴとなっています。
よって、原油価格がリバウンドしてもETFや投信は同じように上昇しないことが想定されるので注意が必要です。
- 原油先物のロールコストについてはこちらを参照してください:ETFの概要(原油等コモディティ関連ETFは注意が必要) - ファイナンシャルスター
ちなみに原油価格が1バレル=26ドル前後まで下落した2016/2/10にWTIスポット価格(円ベース)に投資した場合とWTI原油価格連動型上場投信(1671)に投資した場合のパフォーマンスは下記の通りです。
2016/2/10~2017/6/20のパフォーマンス
- WTI原油価格(スポット、円ベース):+53.78%
- WTI原油価格連動型上場投信(1671):+10.71%
少し驚かれる方もいると思いますが、約1年4か月の投資期間でこれくらい違います
よって、先物にしか投資できないコモディティ関連は投資するうえで注意が必要です。
ちなみにコモディティの中でも金(ゴールド)や銀(シルバー)などはETFの場合、現物の裏付けがある商品が一般的ですのでその場合はロールコストの問題は発生しません。
原油価格のリバウンドを狙う場合は、超短期であればETFでも良いかもしれませんが、そうでない場合は、原油価格下落の影響を受けて一緒に下落するアセットクラスが狙い目です。
例えば、エネルギー株(シェブロン・エクソンモービル)やMLP・ハイイールド債・バンクローン関連の投信などが狙い目となります。
また、個人的にはロシアルーブルが最も使えると思っています。
ロシアルーブルは原油価格との相関性が高く、金利も高水準です。
原油自体は金利を生み出さないこともあり、ロシアルーブルは「金利付き原油取引」と呼ばれることもあります。
- ロシアルーブルのチャートはこちらを参照:ロシアルーブル為替レート(円/ルーブル,ルーブル/ドル)長期推移(チャート・変動要因)