2017/6/14のFOMCで予想通りFF金利の利上げとFRBのバランスシート縮小が発表されました。
FRBのバランスシートは2008年10月からの量的緩和により0.8兆ドルから4.5兆ドルまで拡大しています。
これを今年のいずれかの時点から、「米国債60億ドル」+「MBS 40億ドル」=「合計100億ドル」を毎月減少させ始め、3ヵ月ごとに「米国債は60億ドルずつ」、「MBSは40億ドルずつ」減少速度を速めて、最終的に「米国債300億ドル」+「MBS 200億ドル」=「合計500億ドル」を毎月減少させていくことになります。
FRBのバランスシート縮小はドル高要因となります。
少し難しい話になるかもしれませんがFRBのバランスシート縮小がドル高要因となる理由は2つあります。
1つ目は通貨は中央銀行への信用が裏付けになっているという点です。
昔のように金本位制であれば通貨は金(GOLD)の裏付けがありましたが、現在はどの通貨も中央銀行の信用を裏付けに発行されています。
米ドルもFRBの信用が裏付けとなっていることから、FRBのバランスシートが必要以上に拡大しリスクが増加することはFRBの信用の低下となり米ドル安の要因となります。
2008年10月から米国の量的金融緩和によりFRBのバランスシートが拡大しましたが、この時は円高ドル安が進むと共に金(GOLD)が大きく上昇しました。
これはFRBの信頼及び米ドルの価値に対する懸念が要因と考えられます。
今後、バランスシート縮小が進めばバランスシート拡大時と逆の動きとなる可能性があります。
- バランスシートと為替の関係についてはこちらを参照してください:日米中央銀行(FRB・日銀)のバランスシート(資産残高)推移 / ドル円レートに影響も - ファイナンシャルスター
2つ目の理由は、金融引き締め効果によりインフレ率が低下し米国の実質金利が上昇することです。
今回は利上げも同時に行われていくことになりますので、「名目金利上昇」+「インフレ率低下」で両面から実質金利が上昇することになります。
短期・中期のドル円レートは日米実質金利差に影響されるケースが多くなります。
- 実質金利差と為替レートの関係はこちらを参照してください:為替レートの予想・分析は実質金利差・購買力平価を活用 - ファイナンシャルスター
もちろん、ドル円レートの場合は米国側の要因だけの分析では不十分で日本についても分析が必要です。
ただし、日本の場合、当面は現状の緩和政策が継続されると考えられることから、ドル円レートについても円安ドル高のバイアスがかかりそうです。
当面、大きな円高があるとすれば、米国の金利が予想以上に上がらないケースか、何か予想外のショックによるリスクオフのケースでしょう。
少し気持ちが悪いのは米国の長期債利回りが上昇しない点です。
FFレートが1.25%で10年債が2.2%というのは少し気がかりです。
為替の予想は難しい。