富裕層に個別株式を提案する場合のポイントは、事業内容が理解しやすく、バリュエーションが安く、一定の配当収入がある銘柄にすることです。
そうすれば多少下落した場合でも、右往左往せず保有することができます。
今回は西武HD(9024)と三井住友FG(8316)を取り上げますが、この2銘柄はセットで提案することがポイントです。
2銘柄の2017/5/29時点のデータは下記の通りで、特性がかなり異なります。
西武HD(9024)
- 株価:2094円
- PER16.1倍
- PBR1.84倍
- 配当利回り1.09%
- 成長性が高いが、配当利回りが低い
三井住友FG(8316)
- 株価:4041円
- PER9.0倍
- PBR0.58倍
- 配当利回り3.95%
- 割安で配当利回りが高い
西武HD (9024)はホテル事業と不動産事業で多くのプロジェクトが進行しており当面の業績も期待できますが、本当のポテンシャルが顕在化するのは東京オリンピック後に予定している品川エリアの再開発です。
現在、品川駅周辺に4つのホテル(ザ・プリンスさくらタワー東京、グランドプリンスホテル高輪、グランドプリンスホテル新高輪、品川プリンスホテル)を運営し13万㎡の土地を所有しています。
2020年までは今の形でホテル運営を行い、2020年以降は複合施設としてリニューアルすると発表しています。
品川は2027年開業のリニア中央新幹線の始発駅であり、今後発着枠が増加する羽田空港へのアクセスも優れているため、新しい東京の玄関になるといわれています。
イメージとしては現在、三菱地所が東京の顔である丸の内の大家さんですが、将来的には西武HDが品川の大家さんと言われる日も来るのではないでしょうか。
いずれにしても品川駅周辺の価値が大幅に上がることは間違いありません。
現在の株価は2015年4月につけた3,695円から大幅に調整し、このポテンシャルはほとんど織り込んでいない水準です。
三井住友FG(8316)はシンプルに割安銘柄です。
日銀のマイナス金利政策による収益悪化懸念で売られていますが2017年3月期も増益で当期利益は約7000億円です。
1990年代と違い、不良債権問題もありません。
更に国内業務は伸びませんが、海外業務は大幅に拡大しています。
総融資残高70兆円に対し海外向けは20兆円前後まで増加しています。
海外向け融資の拡大で総融資残高も過去5年で20%程度増加しています。
この成長性は株価に全く織り込まれていません。
また自己資本に余裕が出てきており、近い将来、三菱UFJのように自社株買いも期待できます。
最低でもPBR1倍の7000円前後は狙えると思います。
三井住友FG(8316)は配当利回りが約4%と高いため、西武HD(9024)の低い配当利回りを補完できます。
2銘柄平均では配当利回りが2.5%になり、ともに中長期的な上昇ポテンシャルが期待できます。