2016年7月〜10月のドル円レートは1ドル=100円〜105円で推移していました。
2016年11月の大統領選挙でトランプ大統領が決定すると、一気に円安ドル高が進み2016年12月には1ドル=118円まで円安ドル高となりました。(元々、トランプ氏が当選する確率は低いと見られており、トランプ大統領が誕生した場合、リスクオフで円高になると言われていましたが全く逆の結果になりました)
その後、多くのアナリストは1ドル=120円超えや130円など更なる円安の予想を始めました。
しかし、2017年に入ると今度は円高が進み2017年3月現在、1ドル=110円前後です。(為替の予想は難しい)
この理由は色々と説明されていますが、最も影響が大きいのは米国の実質金利が低すぎる点だと思われます。
言い方を変えると日米実質金利差が縮小しているということです。(縮小というより米国の実質金利が日本より低くなる逆転が発生しています)
ちなみに新聞などで「日米金利差がドル円レートに影響を与える」という内容を目にしますが、為替を見る上で重要なのは「日米金利差」(日米名目金利差)ではなく「日米実質金利差」です。
為替レートについて考える場合、インフレ率も考慮しないとあまり意味がありません。
2017年3月現在の実質金利を3ヶ月LIBORとCPIを基準に計算すると
米国の実質金利
- 3ヶ月LIBOR:1.15%
- インフレ率(CPI):2.70%
- 実質金利:−1.55%(3ヶ月LIBOR−インフレ率)
日本の実質金利
- 3ヶ月LIBOR:0.02%
- インフレ率(CPI):0.40%
- 実質金利:−0.38%(3ヶ月LIBOR−インフレ率)
どちらもマイナスですが日米を比較すると相対的に日本の方が金利が高くなっています。(米国のマイナス幅が大きくなっている)
短中期の為替レートの変動はこの日米実質金利差で大部分を説明することができます。
今の状況を考えると、日本のインフレ率はすぐに大きく上昇する感じではないので、米国の利上げが進むか、米国のインフレ率が低下しないと円高ドル安が進みそうです。
もちろん日本のインフレ率が上昇するパターンが最高なのですが。。。
米国の政策金利(FFレート)は2015年12月から利上げ局面に入って、0.25%から1.00%まで上昇しています。
当面は利上げにより米国の短期金利がどこまで上昇するかが焦点となりそうです。
今の実質金利差から考えると、あと1%は米国の短期金利が上昇しないと円高になる可能性があります。
一方、ここから2%以上の利上げがあり、米国のインフレ率がインフレ目標の2%前後まで低下すると大きな円安ドル高も考えられます。
日米実質金利差のチャート、為替レートの短期・中期・長期の予想分析はこちらを参照してください!