2017年3月現在、金融機関の不動産への新規融資が過去最高を更新しており、金融庁も管理を強化し始めています。
首都圏においてもアパートの空室率が30%を超えるなど、放置すれば将来の不動産市況に悪影響を与える可能性もあります。
アパートローンなどの不動産向け融資が増加している理由はまとめると下記のとおりです。
- 2015年税制改正で相続税対象者が増加
- 空前の低金利
- 不動産関連以外に融資ニーズが少ない
- 相続税の節税手段が他にない
- 賃貸用不動産の相続税評価が優遇されている
賃貸用不動産の相続税評価額に関しては、一般的なアパートでは実勢価格の50%程度で、タワーマンションなどでは実勢価格の20%程度となるケースもあります。
相続税の最高税率は55%ですので1億円を現金等で保有して入れば5,500万円の相続税がかかります。
これがタワーマンションを保有することで2,000万円の評価となり、相続税が1,100万円まで減額されます。
ここまで相続税が圧縮されると賃貸用不動産を活用した対策を行いたくなるのも無理ありません。
ただし、最近ではタワマンなどの圧縮率の高い案件で否認されているケースもあり注意が必要です。
また、よくあるケースとして相続税評価を下げることはできても、保有不動産からの賃料収入が当初のシミュレーション通りにいかなかったり、不動産価格が下落して損失が出たりすることもあります。
これでは意味がありません。
よって、賃貸用不動産による相続税対策を行うときは価格が下がらない競争力のある物件を保有することが最も重要です。
- 賃貸用不動産による相続税対策の詳しい内容についてはこちらを参照:相続税対策/賃貸用不動産(マンション・オフィス等)で相続税評価額を圧縮 - ファイナンシャルスター
- 富裕層に関連する税金や節税についてはこちらを参照:株特はずしを行う際に投資信託は活用できるか? - ファイナンシャルスター
また、近年では運用目的の投資用マンションも一部でブームになっています。
業者が家賃保証(サブリース)をするケースも多く、サラリーマンなどが安易に契約することも多いようです。
ただし、これはかなり以前から問題が指摘されています。
注意すべき点は2点です。
1点目は家賃保証契約をしても、途中から保証金額の減額や保証期間の短縮を迫られることがあります。保証といっても業者の信用力に依存するので、「このままでは倒産してしまう」と開き直られて契約変更を迫られるケースが多いようです。
2点目は購入する投資用マンションの価格自体がそもそも割高な価格で販売されているケースです。
分譲マンションと違い、投資用マンションは適正価格がいくらか素人では判断しにくいということもあります。
ワンルームマンション6室の物件を1棟買いしたケースで、本来なら4000万円が相場の物件を5000万円で購入させられたという話もあります。
価格は意外と疑わない部分なので盲点といえます。
このような形で不動産投資が拡大している点は注意が必要です。