金融庁が2017年3月に「顧客本位の業務運営に関する原則」を公表するなど、フィデューシャリー・デューティーヘの関心が高まっている中、従来から人気があった毎月分配型投信の販売を自粛する動きが出ています。
同時に、高すぎると言われている分配金利回りを引き下げるため、分配金を減額するファンドが増えています。
その影響からグローバルREIT、米国REIT、J-REITなどに投資する投信からの資金流出が続いています。
特にJ-REITの場合は、市場時価総額合計(約12兆円)のうち約32% (約3.8兆円)を投信が保有していますので、投信の資金フローがJ-REIT市場に与えるインパクトは大きくなります。
J-REITは2017年4月、5月の2か月連続で投信が売り越しました。
売り越し額は147億円とそれほど大きくはありませんが、しばらくこのような動きになるとの報道もあります。
2017年6月時点では東証REIT指数が1740ポイント、東証REIT指数の加重平均利回りが3.9%です。
個別銘柄では一流スポンサーの銘柄でも5%近い利回りのものが多くあります。
時価総額が小さい銘柄では6%~8%はあたりまえの水準です。
これだけの利回りがあれば運用難の地銀や機関投資家がどこかで買いに来ることも想定されます。
また、NAV倍率は平均では1.2倍前後と思われますが、銘柄間のバラつきが大きく、1倍を下回っている銘柄も多く存在します。
先日、インペスコ・オフィス・ジェイリート投資法人がJ-REIT初の自社株買いを行いましたが、今後、極端に売られた場合は他の銘柄でも自社株買いも想定されますので下値リスクは以前より小さくなっていると考えられます。
現在のようにファンダメンタルではなく、需給悪化が要因での下落は買っても良いタイミングではないでしょうか。
また、J-REITの場合は日本株式と違い為替による影響を受けません。(海外物件を保有しているリートもありますが、比率はごく僅かです)
足元、日本株は為替に敏感な勵きとなっていますが、J-REITであればその心配はいりません。
東証REIT指数は年初来で約5%のマイナスとなっており、米国やシンガポール等主要国のREITと比較しても少し出遅れている感じがします。
シンプルに低コストのETFを購入するのも良いと思いますし、割安な個別銘柄を5銘柄程度に分散投資するのも良いでしょう。
しかし、以前にも書きましたが、毎月分配型投信が人気なのは金融機関の営業姿勢の問題だけではなく、本質的に顧客ニーズがあるからですので、そこまで厳しく取り締まる必要もないように感じます。
それより、ここでは書きませんがもっと規制すべき部分は他にあると思います。(利益供与に近いIPOの配分など)
J-REITについてのポイントや様々な切り口はこちらを参照してください!