今回はリート関連の少しマニアックな問題です。
5問中最低3問は正解できないとスーパー金融マンとは言えません。
マニアックと言っても営業で役に立つ内容ばかりです。
言い換えると一流の金融マンと二流の金融マンの分かれ目になるような内容ですので分からない点があれば復習しておきましよう。
①米国リートとJ-REIT、配当利回りが高いのはどちら?
- 米国リートの配当利回り(ダウ・ジョーンズ米国不動産指数):4.05%
- J-REITの配当利回り:4.05%
(共に今期予想)
2017年7月下旬の時点では日米のリートの配当利回りはほぼ同じ水準です。
米国リートは長期的に右肩上がりで大きく上昇していますが、賃料も右肩上がりで上昇しているためある程度高い配当利回りを維持しています。
J-REITはここ数か月間、投信からの資金流出で軟調な展開となっており、3%台で推移していた配当利回りは4%台に上昇しています。
- J-REITの投信からの資金流出についてはこちら:毎月分配型投信からの資金流出でJ-REITが下落は買いのタイミングか?
②米国リートとJ-REIT、NAV倍率が低いのはどちら?
- 米国リートのNAV倍率:0.98倍(2017/6月末時点)
- J-REITのNAV倍率:1.08倍(2017/6月末時点)
ちなみにNAV倍率は株式のPBRのようなイメージで、不動産鑑定価格ベースの1株当たり純資産に対しリートが何倍まで買われているかを表す指標です。
米国リートのNAV倍率は過去3年間は0.90倍~1.05倍で推移してきました。
J-REITのNAV倍率は過去3年間では低下傾向で1.60倍から1.08まで低下してきました。
これは足元、J-REITが軟調な動きであることに加え、不動産鑑定価格が着実に上昇してきたことが要因と考えられます。
③J-REITの「負ののれん」について説明してください
J-REITが合併(買収)する際、純資産価格より低い評価で合併(買収)した場合に発生する会計上の利益です。
J-REITは通常、収益のほぼ100%を分配金として支払うため剰余金(内部留保)がほぼありませんが、負ののれんが発生した場合はその分が剰余金となります。
これを活用することで安定配当や古い物件(含み損のある物件)の売却により競争力のあるポートフォリオを維持することが可能となります。
- J-REITの「負ののれん」についてはこちらに詳細な説明があります:J-REITの「負ののれん」 - ファイナンシャルスター
④過去に破たんしたJ-REITの名称は?
ニューシティ・レジデンス投資法人が2008/10/9に民事再生法適用を申請して破たんしました。
日本のJ-REITは開発が認められておらず、単に不動産を所有しているだけにもかかわらず、破たんすることになりました。
リーマンショック時は不動産市場が極度に混乱し、破たんしたJ-REITはニューシティ・レジデンスのみでしたが、実質的に破たんし他のリートに買収されたようなケースも発生しました。
- J-REITの破たんについての詳しい内容はこちらを参照してください:J-REITの破綻(ニューシティ・レジデンス)、J-REITの実質破綻(日本レジデンシャル) - ファイナンシャルスター
⑤私募リートのメリット・デメリットを説明してください
- メリット:安定した価格推移
- デメリット:流動性が低い
私募リートはその名の通り、上場していないリートです。
上場していない点以外は基本的にJ-REITと同様の仕組みです。
機関投資家や大手の事業法人には比較的人気があります。
流動性は低く、感覚的には実物不動産に投資するのと似ています。
私募リート意外にも似たような仕組みの商品として私募ファンドやブリッジファンドがあります。
- これらの詳細な説明はこちらを参考にしてください:J-REIT・私募REIT・私募ファンドの違い - ファイナンシャルスター
まとめ
どれくらい正解できましたか?
少し難しかったかもしれませんが、一流の富裕層顧客や法人顧客を相手にするにはこれくらいの知識は最低限必要です。
よく復習しておきましょう。
今回はリート関連でした。
今後も違うテーマで掲載しますので楽しみにしてください。
最後にリートや不動産に関する営業に役立つ少しマニアックな知識・ノウハウは下記をご覧ください。