ISM製造業景況感指数と!SM非製造業景況感指数とは
「ISM製造業景況感指数」と「ISM非製造業景況感指数」はISM (Institute for Supply Management:全米供給管理協会)が発表する製造業と非製造業の景況感を表したもので、いわゆるPMI(Purchasing Managers' Index::購買担当者景気指数)の1つです。
製造業の購買担当者へのアンケート結果をもとに算出されます。
50を上回ると景気拡大、50を下回ると景気後退を表します。
GDPに占めるウェイトや株価に対するインパクトは「製造業指数」の方が大きいと言われています。
ISM製造業景況感指数とISM非製造業景況感指数の比較チャート
普通に考えると「ISM製造業景況感指数」と「ISM非製造業景況感指数」はおおむね同じような動きとなるはずですが、局面によってはかなり異なる動きとなっています。
下記に「ISM製造業景況感指数」と「ISM非製造業景況感指数」のチャートを掲載します。
例えば2010年代をじっくり眺めてください。
一見、同じような動きに見えますが、「ISM非製造業景況感指数」はリーマンショック後の2009年12月からコロナショックが発生した2020年4月までの約10年間、50を下回っていません。
一方、「ISM製造業景況感指数」はその間、2012年や2015年・2019年に50を下回っています。
実は「ISM製造業景況感指数」は新型コロナウイルスが発生する前の2019年8月~2019年12月は50を下回っていていました。
この時期は株価も比較的堅調に推移していたこともあり、意外に感じる方も多いのではないでしょうか。
ただし、2019年8月~2019年12月の「ISM製造業景況感指数」は47.8~48.8で推移しており、50を大きく下回る水準ではありませんでした。
過去の検証では「ISM製造業景況感指数」が45を下回ると米国株も下落するケースが多いという結果になっています。
2019年8月~2019年12月の「ISM製造業景況感指数」はギリギリのところで踏みとどまっていたことになります。
そして、皮肉なことにコロナショック後の2020年6月以降に50を大きく上回って推移しています。
2020年10月は59.3まで上昇しました。
FRBによる大規模金融緩和や政府による財政政策の効果が表れているといえます。
コロナショック後に株価が大きく上昇していますが、「ISM製造業景況感指数」をみると景況感が好転しているという裏付けが確認できます。
一方、「ISM非製造業景況感指数」が50をしっかり割ったのはITバブル崩壊時とリーマンショック時とコロナショック時に限定されます。
逆に考えると「ISM非製造業景況感指数」が50をしっかり割るような場合は、かなり厳しいマーケット環境になると考えられますので注意が必要です。
上記から、株価の下落リスクをモニタリングする上で「ISM製造業景況感指数」と「ISM非製造業景況感指数」を活用するポイントは下記の2点となります。
- 「ISM製造業景況感指数」が45を下回った場合は株価の下落に注意する
- 「ISM非製造業景況感指数」が50を下回った場合は株価の下落に注意する
発生する機会はそれほど多くありませんが、発生した場合は大きな流れの変化を示唆している可能性があります。
是非、上記の2点は忘れないようにしてください!