日本の時価総額トップ10(1989年12月末・2018年2月9日)
下記は2018年2月12日の日経新聞の一部抜粋です。
日本の時価総額ランキングトップ10(1989年12月末・2018年2月9日)の比較です。
ちなみに1989年12月末は日経平均が38,915円の過去最高をつけた日です。
株式時価総額。普段、ニュースで何気なく耳にするが、その意味をひと言で言うなら「会社の値段」だ。会社が将来どのくらい成長するのかといった期待やブランド力、社員の働きやすさまで含めた企業の総合力を表している。時価総額の上位10社を見ると、顔ぶれは平成の30年間で大きく変化しており、時代を映し出す鏡ともいえる。
バブル期は時価総額トップ10の内、6社を銀行が占めています。
現在も三菱UFJフィナンシャルグループと三井住友フィナンシャルグループがランクインしています。
しかし、三菱UFJフィナンシャルグループは「三菱銀行・三和銀行・東海銀行・東京銀行」などが合併しており、三井住友フィナンシャルグループは「住友銀行・太陽神戸三井銀行(さくら銀行)」などが合併してできています。
よって、実質的には大きく時価総額を減らしていることになります。
1989年末の2位・4位・5位が合併したみずほFGは2018年ランク外
そして、1989年時点のランキング2位、4位、5位の「日本興業銀行・富士銀行・第一勧業銀行」が合併して発足してるみずほフィナンシャルグループがトップ10から漏れているのは驚きです。
2000年9月、日本興業銀行(8302)、富士銀行(8317)、第一勧業銀行(8311)が上場廃止となり、代わりに3行の持ち株会社としてみずほホールディングスが上場しました。(その後、2003年に株式交換方式でみずほフィナンシャルグループとなっています)
1989年末の3行の時価総額合計は約34.2兆円です。
現在、みずほFGの時価総額は約5兆円です。
単純計算で約1/7、-85%です。
さらにリーマンショック後の公募増資等の影響で株式数は大きく増加しています。
現在の基準で計算すると合併時の発行済株式数は約100億株です。
その後、2005年・2009年・2010年の公募増資で合計100億株が増加しています。
また、2003年の優先株による1兆円増資の分は、2007年~2008年頃に自社株買いを行い、一部相殺したものの、最終的に転換価格が下がったこともあり、50億株前後の増加要因となっています。
その結果、現在みずほFGの発行済株式数は250億株です。
つまり、株式数は2.5倍となっています。
逆にいうと1/2.5(-60%)に希薄化しているということになります。
株価が約1/7 (-85%)、希薄化で1/2.5 (-60%)ですので、合計すると1/17.5 (-94%)です。
1989年末に日本興業銀行・富士銀行・第一勧業銀行のいずれかに1億円投資した場合、600万円になっているということです。
とんでもない下落率です。
ここまで来るとマクロ環境の悪化によるものだけではなく、企業としても何か大きな問題があるのではないかと思ってしまいます。
時価総額が94%減少したら普通の企業であれば破綻します。
銀行の場合、公的資金などで救われてきたため破綻はしませんでしたが、その結果、ガバナンスに問題を生じているのではないでしょうか。
もっと顧客や株主を意識した経営が必要ではないでしょうか。
世界の時価総額ランキングの変化と日本の時価総額ランキングの変化はこちらをご覧ください。
- 時価総額ランキング上位企業(1992年と2016年) / グローバルでは大きな変化、日本は同じ顔ぶれ
- 時価総額ランキング上位企業(1992年と2019年) / 世界は大きく変化・日本の地位は低下
- 時価総額ランキングTOP50(1992年と2023年)【世界は大きく変化・日本の地位は低下】
【2020年6月追加】2020年6月みずほFG時価総額は1989年末の1/10
2020年6月現在、みずほFGの時価総額は3.4兆円まで減少しています。
上記に掲載している1989年12月末「日本興業銀行・富士銀行・第一勧業銀行」時価総額合計34.2兆円のちょうど1/10の水準です。
株数は引き続き2.5倍になったままですので、「株価が1/10」+「発行済み株式数が2.5倍」で実質的には1/25(−96%)になった計算です。