投信・ETF(債券型)

債券型投信の危機 / ETFとインデックスファンドで十分か

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債券に投資する投資信託は株式やREITと比較して期待リターンが低いことから、どうしてもコスト負担が重くなります。

その為、債券のアクティブファンドでベンチマークや参考インデックスを上回ることは基本的に難しくなっています。

それでも以前は投資以外に投資手段がなかったため、日本でも資金を集めていましたが、現在はETFやインデックスファンドが一般的となっており、特色のない債券型のアクティブ投信は今後ますます厳しい立場になりそうです。

債券型投信の残高上位銘柄です。

  • フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド
  • グローバル・ソブリンオープン
  • PIMCO世界インカム戦略ファンド(Aコース)
  • ハイグレード・オセアニア・ボンド・オープン

このなかでPIMCO世界インカム戦略ファンド(Aコース)は、債券運用では規模・

実績共に世界No1のピムコのお任せファンドです。

マクロ環境を分析しながら、ハイイールド債・新興国債券・バンクローン・モーゲージ証券などに分散投資を行うことで、これまでも高いパフォーマンスを実現しています。

このファンドのように運用手法に特色があり、パフォーマンスも出している投信であれば存在意義があります。

一方、他の3ファンドは運用手法や投資対象は非常にシンプルです。

それぞれのファンドの投資対象です。

  • ・フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド:米国ハイイールド債
  • グローバル・ソブリンオープン:世界のソブリン債
  • ハイグレード・オセアニア・ボンド・オープン:豪ドル建て債券

運用手法はこれらの債券をほぼ100%組み入れるだけです。

3ファンドの商品性はこちらを参照してください。

そして、3ファンドのパフォーマンスです。

それぞれ比較可能な同種のETF・インデックスファンドとの比較チャートを掲載します。

「iシェアーズ iBoxxハイイールド社債ETF」と「上場インデックスファンド海外債券」はETFで「eMAXIS豪州債券インデックス」はインデックスファンドです。

投信・ETF比較(ハイイールド債)

投信・ETF比較(グロソブ)

投信・ETF比較(豪ドル債)
いずれも動き自体がETF・インデックスファンドとほぼ同じで、しかもパフォーマンスは劣後してます。

これでは存在意義がありません。

ちなみにグロソブは解約した場合の信託財産留保額が0.5%かかります。

このファンドはピーク時約5.8兆円の残高があり、現在は4.000億円程度ですので、信託財産留保額による影響だけで5%以上はパフォーマンスがプラスになっているはずです。

それでもインデックスに負けています。

次に各ファンドの信託報酬です。

  • フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド:1.838%
  • グローバル・ソブリンオープン:1.375%
  • ハイグレード・オセアニア・ボンド・オープン:1.375%

この運用手法とパフォーマンスでこれは高すぎます。

逆にもう少し信託報酬を安くすればインデックスを上回る可能性も出てきます。

感覚的にはシンプルな投資手法のアクティブ型債券ファンド信託報酬は0.7%前後が落としどころのように感じます。

あまり低すぎるとETF・インデックスファンドと変わらなくなり、アクティブ運用を行う意味がなくなりますし、今のままだと投資家はどんどん逃げていきます。

0.7%くらいの水準であれば一定の投資家を集められるのではないでしょうか。(もちろん少しでもアクティブリターンをださないとだめですが)

それ以外ではPIMCO世界インカム戦略ファンドのように運用手法に大きな特色があり、ETF・インデックスファンドでは再現できないもので、かつ、良いパフォーマンスを継続的に提供するファンドはニーズがあります。

ちなみに、運用手法はいくらでも考えれられますが、良いパフォーマンスを出すことはかなり難しいといいえます。

PIMCO世界インカム戦略ファンドのパフォーマンスが良いのはピムコのリサーチカが優れれいるからであり、他社がまねしても同じ結果になるとは限りません。

今後のアクティブ型の債券ファンドはリサーチカを生かして比較的高い信託報酬を取るものか、運用手法がシンプルな分、信託報酬をやや低く設定する商品の2パターンが人気を集めるでしょう。

各社ともこのような商品開発に取り組んでいただきたいと思います。

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