ドイツ銀行のCoCo債が大きく売られています。
- 米ドル建て
- ファーストコール(最初の繰上償還):2025年4月40日
- クーポン:7.5%
上記のCoCo債の債券価格は88前後まで下落しており、繰上償還利回りは約10%の水準です。
ちなみに2016年にも大きく下落し、この時は債券価格が75前後まで下落しました。
当時は米国の司法省がドイツ銀行に対し,住宅ローン債権(RMBS)の不正販売を巡り和解金を要求したことでCoCo債の利払いがスキップされるのではないかとの懸念が台頭しました。
当初、和解金は140億ドルと報道されていましたが、結果的に72億ドルで決着したことやリストラ等で経営を立て直したこともあり、CoCo債の価格は回復しました。
今回の下落は米国の子会社がFRBのストレステストで唯一の不合格となったことも要因ですが、そもそもドイツ銀行は3年連続赤字で大規模なリストラ中です。
さらに大きすぎるデリバティブのポジションや中国向け融資などのリスク要因も潜在的にあることが下落の要因となっています。
しかし、2017年4月に80億ユーロの増資を行ったこともあり、普通株式等Tierl比率(CET1比率)は14%台とかなり高水準です。
CoCo債のトリガーは5.125%ですので9%程度の余裕があります。
普通株式等Tierlの金額が約5兆円前後と考えると3兆円の損失が出ても問題ない水準です。
さらに万が一大きな損失が出る場合はバランスシートを縮小するはずですので、自己資本比率を計算する上での分母も減り、結果として普通株式等Tier1比率(CET1比率)はそこまで低下しないことになります。
また、ドイツ銀行はドイツの圧倒的No1バンクですので、万が一の際は政治的にも支援される可能性が高いと思われます。
ドイツ銀行の普通株式等Tier1比率(CET1比率)が5.125%を下回り、CoCo債が毀損する事態になればリーマンショック級かそれ以上のインパクトになる可能性もあるのでなんとしても回避しようとする動きが広まると思われます。
これらを考えるとドイツ銀行CoCo債の安いところは買いでよいのではないでしょうか。
- CoCo債の仕組みについてはこちらをご覧ください:投信のセールストークとリスク:ニッセイ世界ハイブリッド証券戦略ファンド(アドバンスド・インカム)
- 世界の大手銀行の自己資本比率と普通株式等Tier1比率(CET1比率)についてはこちらをご覧ください:CoCo債で重要 / 世界の大手銀行の自己資本比率(Tier1比率・普通株式等Tier1比率) - ファイナンシャルスター