短期間で3回の利上げ、政策金利は40%
アルゼンチンは2018/4/27に3%、2018/5/3に3%、2018/5/4に6.75%の利上げを行い、政策金利が40%となっています。
最近のアルゼンチンのインフレ率は20%台で推移しており、政策金利も20%台と高めでしたが、40%という数字にはびっくりします。
米ドル金利の上昇により、多くの新興国通貨が下落していますが、その中でもアルゼンチンペソの下落は大きく、通貨防衛の為に金利引上げをせざるを得ない状況です。
- アルゼンチンペソの推移はこちらを参照してください:アルゼンチンペソの長期推移と関連データ - ファイナンシャルスター
ただし、40%という超高金利は長く続かないと思われているようでアルゼンチン国債の利回りは下記の通り逆イールドとなっています。
アルゼンチン国債利回り(2018/5/28現在)
- 残存3ヶ月:31.3%
- 残存3.4年:21.4%
- 残存5.4年:19.1%
- 残存8.4年:17.8%
アルゼンチンの信用リスクは悪化していない
アルゼンチンは2017年6月に米ドル建ての100年債を発行して話題となりました。
しかもアルゼンチンは過去に何度もデフォルトをしているにもかかわらず、100年債の条件は最終利回りで約8%(クーポン7.125%、発行価格90)と比較的低利回りでしたが、需要が殺到しました。
ではこの100年債の価格が現在どうなっているかというと債券価格は88となっており、1年前の発行価格からそれほど下落していません。
2017年12月頃には債券価格が102前後まで上昇していましたので、そこからみると下落していますが、元々買われ過ぎていたと感じます。
米ドルの10年債利回りは100年債が発行された2017年6月は2.2%で、2017年12月は2.4%、現在は2.95%です。
2017年12月は2017年6月より米ドルのベース金利が上昇しているにも関わらず、100年債の債券価格が上昇(利回りは低下)しており、アルゼンチンのクレジットスプレッドが大きくタイトニング(クレジット環境が好転)していたことが分かります。
現在は米ドルのベース金利がさらに大きく上昇しているので、100年債の価格が下落しているのはこの金利上昇も大きく影響しています。
発行時の2017年6月と現在の比較ではベース金利が大きく上昇(10年債利回り2.2%→2.95%)しているにもかかわらず、100年債の債券価格はほぼ同水準で、利回りも2017年6月が7.8%、現在が8.1%です。
よって残存期間が大きく異なるので参考程度ですが、10年米国債対比のスプレッドを計算すると
- 2017年6月:7.8%−2.2%=5.6%
- 現在:8.1%−2.95%=5.15%
現在の方がスプレッドは小さくなっています。
マーケットはアルゼンチンの信用リスクが高まっているとは思っていないようです。