足元、新興国通貨が売られ、日米のREITは軟調な展開です。
その要因として米国の金利上昇をあげる人が多いようです。
確かに米ドルの金利が上がれば、新興国に流れていた資金の逆流が起こり、新興国通貨にとってはマイナスのように感じます。
また、米国REITは調達金利の上昇により業績にマイナス要因となることも理解できます。
また、米ドル金利が上昇する事で様々な投資商品の相対的な魅力も低下します。
しかし、米国の金利が上昇するということはマクロ経済環境が良く、投資においてもリスクオンとなり、新興国通貨や米国REITに投資する人が増え、結果的にマーケットは上昇しそうな気もします。
今回は前回の利上げ局面(2004年6月~2006年6月)に各資産クラスがどのような動きになったかを検証します。
ちなみに前回の利上げ局面では、2004年6月から2006年6月の2年間でFFレートが1.00%から5.25%に上昇しました。
この間、年8回行われるFOMCで17回連続利上げが行われました。
下記に各資産クラスの2004年6月から2006年6月のチャートを掲載します。
<株式・REIT>
- 米国株:S&.P500指数
- 日本株:TOPIX
- 新興国株:MSCIエマージング
- 米国リート:ダウジョーンズ米国不動産指数
- J-REIT:東証リート指数
※2004年5月31日を100として指数化
<新興国通貨>
- トルコリラ/ドル
- ブラジルレアル/ドル
上記の通り、株式・REITは全て上昇し、新興国通貨ではトルコリラが若干の下落でブラジルレアルは上昇となっています。
そして、トルコリラも金利を含めるとプラスとなります。
これを見ると米国の金利上昇は必ずしもマーケットに悪影響を与えるわけではないということが分かります。
今回の利上げは2015年12月からスタートし既に2年半が経過しています
FFレートはこの間、0.25%から1.75%に上昇しました。
そして、1.4%まで低下していた米国10年債利回りは3.0%を超えてきています。
米国の金利上昇はもう少し続きそうですが、悪い影響ばかりでもないことは理解しておきましょう。
特に米国REITなどは金利上昇により下落した場合は投資のチャンスとなります。
過去の推移を見ても、金利が上昇すると米国REITが10%〜20%程度調整することがあります。
その後は金利が低下しなくても、上昇が止まれば、米国REITは回復しています。
参考にしてみてください。