2017年の日本の経常収支は21.8兆円の黒字となり、2007年の24.9兆円に次いで過去2番目の黒字幅となました。
日本の経常収支の内訳は年を追うごとに変化しています。
- 日本の国際収支の長期推移はこちらをご覧ください:日本の国際収支推移 - ファイナンシャルスター
下記では経常収支の内訳で特徴的なポイントをピックアップして解説していきます。
貿易黒字は長期的に縮小傾向
1990年代は経常黒字のうち、貿易黒字が大きなウェイトを占めていました。
かつては10兆円以上の黒字が当たり前であった貿易収支ですが、2011年の東日本大震災後に原発が停止し、エネルギーの輸入が増加したことで2011年~2015年の5年間は貿易赤字となりました。
2016年、2017年は5兆円前後の貿易黒字となっています。
サービス収支の赤字が大幅に縮小 / インバウンド効果
サービス収支は過去、赤字が続いていますが、赤字幅は年々縮小し、もう少しで黒字がみえる水準となっています。
90年代後半はサービス収支が6兆円を超える赤字となっていましたが、2017年の赤字は0.7兆円となっています。
サービス収支が改善しているのは海外からの旅行者(インバウンド)の拡大による影響が大きくなっています。
旅行収支は2015年から黒字化しており2017年は1.8兆円の黒字まで拡大しています。
日本人が海外で使うお金よりも、外国人が日本で使うお金の方が大きくなっています。
貿易収支の黒字が減少した分を、サービス収支(旅行収支)の改善で補っている形となります。
第一次所得収支(従来の所得収支)は黒字が拡大
海外に保有する資産からの利子・配当金が増加していることにより、90年代は10兆円以下の黒字であった第一次所得収支(従来の所得収支)は、現在20兆円前後の黒字となっています。
また、こちらはほとんど一貫して増加傾向となっています。
第一次所得収支(従来の所得収支)の黒字が高水準であるため、日本の経常収支は黒字になりやすい体質となっています。
まとめ
20年前の90年代後半と比較すると、貿易黒字は減少、それをサービス収支(特に旅行収支)の改善で補い、第一次所得収支(従来の所得収支)は一貫して増加していることで、経常収支の黒字も拡大しているという構図となります。
当面は第一次所得収支(従来の所得収支)の黒字が高水準で推移すると予想されますので、経常収支も黒字になりやすくなります。
ただし、経常黒字が大きくなりすぎると円高要因になる可能性がありますので注意が必要です。